【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1691.スタナム
「どうするんです我が君?」
「何だよ、いつに無く鈍いねハミルカル! アレだよアレ! ヨハネ君の家にあった蝋燭置き、燭台があったろう? ねっ?」
「ああ、ございますが…… アレが何です?」
「出して」
「は? ああ、はい、仰せのままに…… これでよろしいですか?」
そう言ってハミルカルが自分の横の空間から具現化させたのは、九本の蝋燭を立てる事が出来る、所謂八枝のメノーラ、燭台であった。
素朴な装飾は何かの植物を模しているのだろうが、如何せん稚拙でその種までは判別できそうも無い。
薄く輝く銀色から素材は錫である事が伺える、融点の低さ加工の容易さからこの時代以前での主だった鋳造品の代表であり特段珍しさは感じる物ではない。
とは言え、このメノーラを頼りにマリアとヨハネが夕餉を摂り、若しかしたら福音の執筆もこの灯に頼っていたのかも? 何て考えればそれだけで人によっては規格外の聖遺物扱いだったりする一品、いや逸品だったりするのかもしれない。
そんな逸品を目にしたバアルは躊躇無くその手に掴んで徐にグニグニと…… 粘土の様に捏ね繰り回してあっと言う間に一塊の錫塊へと変えてしまったでは無いか…… 勿体無い、諸行無常だな、おっと宗教違いだったか……
錫の塊に目を落としたバアルは暫らくの時を置き、カっと目を見開くと同時に指先を動かし始めた。
削り取るのではなく慎重に押し出す様に、皆さんの時代で言えば結構高価な銀粘土で何かを成形する感じで、あれよあれよと言う間に一つの人型を造り出す、まんま錫人形である。
デッサン的にはまあ人間なのだが性別も不明、細かな装飾や表情等には一切注心せずに造られた鉱物製の人形、いや正格には埴輪的な奴を片手に持ったバアルは、改めて長いすの上の少女、カーミラに視線を戻すと言葉を発する。
「さて、覚悟は良いかな?」
カーミラは即答。
「良く無いです! どうか、どうかっ、ご勘弁して下さいませっ!」
「ふーん、ま、貴様たち人間の気持ちなんか全っくっ、関係無いけどね」
「ひ、ひいぃっ!」
じゃあ聞くなよ。
恐怖に縮み上がる少女の体に向けて開いた聖母の掌に、一瞬の内に青く輝くオーラが集結し始め、同時に残された肉体はカサカサのミイラと変じ長いすの上で崩れ落ち、粉々の茶色な粉末、芥と化した。
少女がこれまで己と認識していた肉の入れ物は消え去り、残った自我と言うべき魂は更に集結して魔神バアルの手にあった、まあ判り易くチェックメイトって所だ。
このまま片手を軽く握り込むだけで容易く彼女の存在を掻き消せる、だと言うのにバアルはそうはしない、自分自身が決めた罰を少女に科する為であり、その為に長い時間を掛けて会議をしていたのだ、勿体無いとか思っているんだろうね。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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