【2259】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2259.坂を転げ落ちるが如く
「やばいぞっ! 兎に角、あのデブのパラメーターをオフってみるか?」
数千年もの間、聖女や聖戦士をキメラ続けたペジオは落ち着いていた、慌てながらもモロ、いやマロとの合体時に設定したパラメーターをオフ一択に切り替えたのである。
これで当座の心配は消え失せた、そう思ったのだが全身の石化は一向に収まる気配を見せない。
「あ、あれ? 何でだ…… 痛っ! 痛たたたっ!」
それ所か痛みは更に激しさを増し、なんだか痛んじゃいけなさそうな場所からも同時多発的に伝わって来たのである。
賢明なオーディエンスの皆様ならば既にお判りだろう。
そう、依り代システム永遠のデバフ、『馬鹿は伝染る』このカルマの存在である。
キメラを駆使して様々な生き物、ウサギや聖女、聖戦士、王まで吸収して来たペジオであったが、これまで悪魔と同化、っつーか依り代として過ごして来た経験は皆無だ。
無論、同居中の潔癖主義者揃いの聖女や聖戦士も未経験ばかりである。
だからこそ良く伝染る、初心であればある程影響が多いのは世の中の常なのだ、ジャンルを問わず、だ。
堕落るのは早いのよ…… そんなアンニュイな呟きが聞こえる感じでペジオの全身は、あっ! と言うまに伝染してしまったのだ。
そう、デブをオフった所で時すでに遅し、ペジオと彼が吸収して来た全ての人間達が一斉に石化し始めていたのである。
『あはは、ウサギ大ピンチじゃん♪ で? 死んだの?』
「んな訳無いだろっ! 死んでたらここにこうしている筈が無いだろっ!」
『そうよね、あーあー死ねば良かったのにぃ』
「ぶ、豚ぁっ!」
『ヘラヘラヘラ♪』
不毛なやりとりには参加せず、先を促すレイブである。
「で、どうしたんだ?」
縦綱の貫禄か、ペジオは素直に顛末を話し続けた。
当時の彼がパニくらずにいられたのは、脳内に浮かんだイメージのお蔭だったという。
千年位前に吸収したアフリカの聖女、エニィが持っていたスキル『家事名人』の拡張機能、『万事如意』である事はすぐに判ったそうだ。
『魔力の侵食が致命レベルに達したよ? 解決する場合は侵食された部位、人間由来のパラメーター値を下げる等の処置がお薦めだよ』
エニィの音声付きなんだな、こりゃ判り易いぞ。
――――っ! 良し、当然だな! 人間部分のパラメーター値を最低レベルまで下げてくれ!
『了解…… 対処したよ』
――――ほっ! どうだ、治ったのかな? まだそこら中がズキズキ痛むんだけど……
『うーん? 速度は落ちたけど未だ侵食中だねー、どうする? 死ぬ?』
――――んな訳無いだろっ! えっと、死なない為にはどうすれば良いんだ?
『単純に人間部分のパラメーターを絞れば良いんだけど……』
――――じゃあやってくれ! 大急ぎでっ!
『でもこれ以上ウサギに寄せて大丈夫なの? 石化は止まるだろうけど失う物だって――――』
――――大丈夫も何も無いだろっ! 死んだら終りじゃないかっ、やってくれっ!
『え? でも…… 稼働中のスキルだって――――』
――――良いからっ! 石化している箇所、人間部分の全パラメーターのオフをしろよっ、これは命令だっ!
『判ったよ、ペジオ、楽しかった、ありがとう………… さようなら……』 ――プッ
そこまで言い終えると、ペジオはその場で両手を広げて華麗にターン、慇懃に頭を垂れてバレエダンサーバリのポーズを決めながら言う。
「こうして現在の僕が出来上がったって訳さ、もう石化の心配なんかする必要も無い!」
なるほど、全身フレミッシュジャイアントの毛皮に包まれ石化の痕跡すら見当たらない。
ついでに言えば人間らしさとかエルフっぽさとかも完全に消失している、それで良いのか?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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