【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1591.ギレスラ疾駆
素早く判断を下したギレスラは、踵を返して出口に向かい走り始めた。
途中で腹を抱えて馬鹿笑いをしている兄を振り返る事無く、坑道の先、屋外から夕陽が差し込んでいる一点だけを目指して猛ダッシュを続けながら思う。
――――この穴自体に何かの毒でも含まれていたか、それとも吸血鬼共のスキルによる罠かは定かではない、しかしっ、レイブとペトラが何らかの悪意に囚われてクルクル状態のパッパラパーと化してしまった事は紛れも無い現実なのだ…… この上はいち早く仲間達に現状を伝えて助力を請わねばなるまい! くぅ~待っていてくれよ、すぐ助けに戻るからな~! 幸い我はニーズヘッグ、竜種の中でも室や洞窟、狭隘な場所を移動するのに長けた一族なのだ! クフフフ、愚かな吸血鬼共めが、我をターゲットから外した事を後悔させてくれん! すぐさまガト達を連れて馳せ戻り貴様等の企みを阻止し、このギレスラが必ずレイブとペトラを助け出してみせようぞ! その時になって謝っても、もう遲いっ! 許してやらんからなっ! クフフフ、む? 何か顔の横をヒラヒラと――――
「どうされたんです? そんなにお急ぎになって」
『うわぁっ!』
長い首を極端に前方に突き出し、翼を体の後方に折りたたむ様にしての全力疾走の中、ふと気になった布状の違和感が話し掛けて来たのである、ヴラドの声で。
驚愕の叫びを上げたギレスラの目には、まるで霧か靄の如くうっすらと姿を変じた、不健康そうで青褪め捲った笑顔が息も切らさずに自分と同じく高速で併走する姿が映った。
直後、足を踏み外してバレル状にローリングしてしまった為真偽の程は定かでは無かったが、彼自身が酷く肝を冷やした事だけは間違いなく事実である。
狭い坑道の中でバレル横転……
普通であれば大惨事、全身のいたる箇所を壁や床に打ち付けたり或いは飛び出した鉱石なんかで裂傷を負う事になってしまうだろう。
しかし、大回転したのは運良く(?)ドラゴンなのである。
それも自称、狭隘での機動に長けたニーズヘッグさんでもあるのだ。
むざむざ血みどろになったりなんかはしないのである、ドラゴンだから。
つんのめって頭から地べたを舐める、そう思った瞬間ギレスラは体を大きく捻った。
首を自分の背中に背負う形で振り返った後、駆けていた後ろ肢をも浮かばせて胴体全体を仰向けに回転させたのだ。
んな事したら背面が地面の凹凸でザクザクじゃん!
その懸念は及ばない、と言うか非常に人間的で想像力の欠如を感じてしまう…… 嘆かわしい。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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