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【2056話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~

2056.進む理由、留まる言い訳

 お気付きだろうか?
 この自己肯定、いや自己弁明には瑕疵かしがある。
 他人が悪い、しくは自分は悪くない、カーイソーなんだよっ! これらの現実逃避に必要不可欠な物がある、聞き手、つまり言い付け先を要するのだ。
 だからすぐ破綻した、皆さんの時代より何十年か昔は。

 家族、教師、友人、ご近所さんに親戚、同好の士、知り合いの知り合い、お医者さんにカウンセラーに同僚に取引先に囚人仲間…… 狭い行動範囲内ではあっと言う間に嘘がばれるし噂も走る。
 破綻したら反省して謝罪、弁済してしっかりとやり直すか、馬鹿な奴は場所やコミュニティを移して再度愚かな挑戦を繰り返す。

 どこでも仮に外国でも、価値観に大差無いなら同じ結果になるのは目に見えている、行き着く所は永遠の旅人、無限の漂流者である。
 言葉の響きほど良いモノでは無い…… なにせ過去に行った場所を避け続ける旅、逃避行しか出来ないのだ、年賀状だってゼロ枚で固定だ。
 寂しさとかのお蔭でどっかでやり直す事が多かった、その想像は容易だ。

 しかし、読者のお便り、文通、新聞の投稿欄、アマチュア無線、そんな感じで不特定多数に向け、更に匿名なんかで吐露する逃げ道とかもあった事だろう…… そこにパソコン通信、携帯電話、匿名掲示板、SNSの登場である。
 オーディエンスの皆さんが生きておられる時代、無限に近い弁明先を得た口舌こうぜつはどんな感じで他者を落とし、どれ位の頻度で自分を棚に上げている事だろうか? それが成熟した社会、らしいから仕方無い、頑張って頂きたい。

 さて、遥か未来で、レイブを見守る、そんなお題目を手に入れたギレスラとペトラは鏡面から動かなくなった。
 すっかりミラー警備員と化した彼等を捨ててガトはどこに行こうと言うのか? しかしてこっそり引っ越す家族みたいな感じなのだろうか?
 だとしたら悪くない選択だ、当事者を追い出しても結構帰って来ちゃうからな、物置とか犬小屋とかに……

 行方をくらます側から巨漢が言う。

『レイブの兄貴の為と思って耐えてくれ』

「ご心配なく、森王様こそお気を付けて」

『うむ』

 そっか、ミロブロは元々クルン=ウラフの住民だもんな、ガトよりこっちのが親しみ深いのか。
 案の定、ミロンに続いて声を発したブロルの表情には見て判るレベルの憂いが含まれている。

「ウラジオストクでしたよね、遠いんですよね?」

『ああ、マガダンより更に西、オホーツクの先を南下した遥か彼方、らしい』

 ブロルは沈痛な物に表情を変える。

「もう会えないかも知れませんね…… グスッ」

 うん…… 確かにパラトゥンカからウラジオストクまでの道のりは半端じゃない。
 直線距離ではハタンガに向かうのと遜色無い距離だからね。
 しかし、そうか、ウラジオストクに向かうんだな、なるほど、理に適っている。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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