【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1709.領主館の老人
勇者気分にどっぷり浸かった邪悪の権化は、館の手前で草叢にしゃがみ込み、一所懸命に四葉のクローバーを探しているらしい痩せて老いさらばえた、背中からでも貧相さが窺える爺様に歩み寄って声を掛ける。
「これこれご老人、この城の様子は一体何があったと言うのか? 私に話してくれれば力になれるかも知れないぞよ? むふふん」
完全に勇者気分である、困った物だ。
声を掛けられた老人は体をビックゥと硬直させた後、手にしていたクローブの葉をパラパラと落としたまま小刻みに震えたりしている、きっと驚かせてしまったのだろう。
中々振り返りも返事すらしない老人に、サタナキアの後ろに並んだパーティーメンバーっぽい一団から、見るからにタンク役らしき筋骨隆々、ゴリラみたいな男が声を荒げる。
「おい返事しろや爺ぃっ! どなたが話し掛けて下さってると思ってるんだよっ!」
震えていた背中が今度はピクッと痙攣して止まる。
「……ゼッセルマン、お前こそそれが主に対する態度だと思っているのか?」
そう言って振り返ったプンプン爺を見たサタナキアは驚愕だ。
「よ、ヨハン? ど、どうしちゃったのよ! まるで老衰直前、末期にしか見えないわよっ?」
「うっううう…… か、神の母よ…… おっ、おおおおお」
なんと! 番兵の怠慢でうっかり入り込んでしまった徘徊老人かと思われた人物は、この城の主、ヨハンだったのである。
旅立ち前、大体九年ちょっと前までは、希望とやる気に目を輝かせた若々しさ溢れる青年領主、ヘラヘラしながら錬金術だけに御執心なちょっとイタい、鼻につく権力者だった筈なのに……
ゲッソリと痩せこけた頬に窪んだ眼窩、ギョロギョロとせり出した眼球は白く濁って焦点が定かに読み取れないし、総白に変じた髪を振り乱しながら何やら叫ぶ様はさながら幽鬼の如し。
「おっおおおおお、お、お、お゛っお゛っお゛っお゛ーっ!」
不気味な咆哮を聞いたパーティーは思わず武器を持つ手に力を込めたが、それに気付いたサタナキアは慌てて諌める。
「ちょっ、待ちなさいよっ! コレ、ヨハンなのよっ!」
アタッカーっぽい男、良く見れば元々この城の兵士長だった男が残された片目を剥き出しながら叫ぶ。
「妖魔が化けてやがるんですよっ! 殺しましょうっ! そうすりゃ正体を現しますっ!」
間違いだったらどうするんだよ……
サタナキアは両手を広げて今にも飛び掛りそうなタンクとアタッカーを制しながら答える。
「ま、ま、取り敢えず話を聞いてみましょうよ! 多分だけどコレアンタ等のご主人様のヨハンなんだから!」
「お…… お…… お……」
ヨハンに良く似たお爺ちゃんは小さな声で嗚咽っぽい音を漏らしている、見える範囲で何本か歯も抜け落ちているらしく、若しかしたら話す事自体が困難なのかも知れない。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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