【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1295.眉唾
前を歩くシュカーラの説明によるとダソス・ダロスは森の中央、里から少し北に寄った小高い丘に暮らしているらしい。
代々の森王がそこを住処としていたからだ。
恐らくだが、森を囲う結界や里の周囲に降らせる再生雨の展開に、直接目視出来る高地の方が便利だったのではないだろうか?
シュカーラは他の疑問についてもこの道行きで話してくれた。
結界や再生雨についてである。
レイブ達が里に向かう道すがら聞いていた事のおさらいといった形であった。
森王の結界は邪悪な侵入者、多くの場合はモンスターがこれに当たるのだが、それらを決して外には出さないのだそうだ。
捕らわれた魔物はやがて脱出を諦めて森の中央付近、クルン=ウラフと呼ばれる地域を目指して集まってくるのだと言う、飢え故である。
クルン=ウラフには一番大きな農耕や狩猟を主とするアイユの里以外にも、道具や日用品の加工を主とする小さな里や、林業に従事しているきこりの里、少数だが塩を採取する採掘師の集落も点在しているらしく、勿論、全て獣人だけで構成されているそうだ。
行き場に窮したモンスターは彼等を獲物と見て襲い掛かってくる。
それに対して獣人達は威嚇や牽制こそするものの、基本、逃げ惑うそうだ。
頑丈な家屋や作業所、坑道の入り口を閉ざしてジッと耐え忍ぶのだと言う。
モンスターと戦い慣れていて、それ所か常食していたレイブからすると、酷く消極的で根本的な解決には至らない、はっきり言えば臆病な方法に感じてしまった。
それはそうだろう、一旦は隠れてやり過ごしたとしても例の結界で数を減らす事が無いモンスターが増え続けてしまうだけだと思ったからだ。
正直に感想を述べたレイブに対して、説明を重ねるシュカーラの表情は得意の絶頂、正にそれであった。
ご満悦の理由は森王のもう一つのスキル、再生雨の存在である。
このスキルは名前の通り、雨状の魔力が降り注ぐ事で怪我や病気の治療を施すだけでなく、その他の影響を、例えば精神的な鬱屈や苦悩まで癒すのだと言う。
このくだり辺りでレイブは眉に唾液を塗った。
否定の声が上がらなかった事で調子に乗ったのかどうかは定かではないが、この癒しの雨、長く打たれていれば老化防止や若返り、果ては壊れた建物や道具、切れ味の悪くなった刃物なんかもあっと言う間に元通り! そう高らかに謳い上げたシュカーラの鼻は真上を向いたりしていた。
既に眉を唾液でビショビショにしているレイブは聞く。
「マジかよ?」
「マジです! この御力こそユイ様ジロー様が我等にお与え賜うたスキルの奇跡! 亜神の偉大さを顕しているのでっす!」
「んー、確かにあの雨で壊れていた迎賓館が直っていたよなぁ…… すげーなぁ、亜神……」
「ほほほっ♪」
気を良くしたのかシュカーラの先割れの舌は滑らかさを増したのである。
「そしてこの御力は邪悪の権化、モンスター共すら本来あるべき姿に戻して下さるのです! ああ、なんと寛大なるかな、慈愛に溢れた偉大なる亜神様ーぁ!」
「あるべき姿?」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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