【2006話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2006.伝統を紡ぐ
厳しい問いを受けた面々は揃って前のめりに突っ伏した状態で怒り狂うウズラ模様のカメムシを見上げていた、大体『何言ってんだ、この爺』的な表情だとお伝えすればご理解頂けるだろうか?
まあそりゃそうだ、全員揃ってすっ転んでいるのだ、誰がとかそーゆーのは当たらないだろう…… 最後尾でパタパタ飛んでいるバッタを除けば、だが……
ダメージがデカイとは言え、そこら辺を見逃すキトラではない、なんせ確実に飛鳥時代以前から生きて来ているのだ。
『……おい、テューポーン、お前がやったんかのう? おっ?』
『ジジジ♪』
『ほう……』
うん、独りだけ転がっていない最後尾のバッタ、それに問い掛けにも何やら楽しそうに返す所から類推するにコイツが押したに違いない状況だ。
馬鹿でも判る状況証拠を目の当たりにしたキトラは飛沫を撒き散らかせながら、ついでに潰れた頭部から出ちゃいけなさそうな茶色の体液まで飛ばして叫ぶ。
『お前判ってるんかのう? 儂、いや俺は玄武、キトラじゃぞい? お前の主、アスタロトの小僧ですら一目置いていた紛う事無き魔神じゃぞい? ……のう、オドレはそれなりの覚悟で仕出かしてくれたんじゃろうのぉっ! あ゛っ、あ゛ぁ゛っ! はっきり言えやぁごらぁっ!』
起伏はマックスを振り切ったようだ…… 最早カタギの言い様では無い、良い子は真似しない事を願うばかりだ。
『ジッジジ? ギーギギッジジジージジ、ギッギジ?』
『三回目に絶対が? それが何なんじゃあっ! ごらぁっ!』
『ジージジギ…… ギジジジジ? ジジジ?』
『お約束じゃと? そんな訳判らん理由で儂の触角折った言うんかぁっ! ああっ?』
『ジジジーギジジギギ……』
これあれだな…… 伝統芸的なアレ、だな。
三度制止しつつ三回目だけ絶対を接頭する、所謂、今だっ! の誰でも知っている隠喩である。
皆さんの時代で生まれたこの様式の美しさしか感じられない文化は数千年後まで脈々と伝えられていたのだ。
最早伝統文化と評価して良いレベルの遺産だと言えよう、何と無く保護欲すら喚起される位だ、泣けた。
そんなダチョウ由来の伝統に気が付けないキトラは決して無神経でも野暮天でも無い、彼は現在、『馬鹿』なのだ、仕方がないのだ。
未だ興奮を隠せずにいるキトラに親切なギレスラがテューポーンの真意を伝えている、心が暖まる、ほっこりした空気が場を包んだ。
『そ、そうか…… ダチョウ的なアレじゃったか…… これは儂のミスじゃったな……』
『そうなのだ、三度目に絶対ではそう思われても仕方が無いのだ』
『確かに…… テューポーンよ、愚かな儂を許してくれるじゃろうか?』
『ジージジジッ…… ジジッジッ♪』
『済まぬ、いや、ありがとう!』
『ふぅ、一件落着なのだ♪ では今度こそ、レイブが待つ日本へ向かうのだっ!』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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