【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1592.アンチ衝撃吸収ボディ
今更繰り返すまでも無いだろうがギレスラは竜、ドラゴンなのである。
と来れば当然飛ぶ訳だ。
薄暗い坑道の中、くるりと背泳ぎ的に姿勢を変えたギレスラは、そのままの体勢で両の翼を大きく広げて空中に留まったのである。
しかも移動速度は維持したまま、本気の全力疾走並みの速さで後ろ向きに飛翔を続けつつ、先程目にした青褪めた霧に向けて厳しい声を投げ掛ける。
『貴様っ! 一体何者だっ!』
霧は答える、薄っすらとした表情はキョトンそのものだ。
「えっとぉ…… お忘れでしょうか? ヴラドですがぁ」
うん、まあ、そりゃそうだろ! 同じ顔だしなっ!
高速でバックワーズ中のギレスラの瞳がギラリと光る。
『抜かしたな、面白い、どうやら命は要らんとみえる』
「え? はい?」
ヴラドの霧はちんぷんかんぷんだ。
名前言っただけだからなぁ、いと理不尽に思っている事だろう。
『グァッ! ギャゥッ! クゥ~、や、やるでは無いか! なるほど、既に敵意を隠す必要すら無い、そーゆー事か』
「いやいやちゃんと前見て飛んだ方が良いですよ! 危険ですってば! あっ! 危ないっ!」
グゴンッ! メキメキッ! プッシャアァーッ!
『グギャッ! クアアァァ……』(グラあ)
「ああっ! だ、大丈夫ですかぁーっ?」
危険極まりないノールックでのブラインドバックフライトは、綺麗に整えられていない、と言うより整形する必要が無かった坑内の突起でギレスラを激しく攻め立て続けていた、まあほぼ自業自得な被弾なのだが……
持ち前の頑強な鱗と後頭部から背面に伸びた屈強な双角のお蔭で、呻く程度のダメージで済んでいたギレスラの首が、嫌な音と共に根元からくの字に折られ、一瞬で胸の辺りまでダラリと移動した。
一際大きな岩盤が天井から飛び出していたらしい……
首のつけ根、背中側で言えば丁度左右の翼のど真ん中を痛打した直後、勢いそのままに頚部の中程、後頭部の双角の隙間へと、三段階にヘビーにストライクったギレスラは当たってもいない両目、両鼻、口から大量の血液を噴き出させている。
これはアレでは無いだろうか?
車の事故なんかで車体を硬く作り過ぎていると衝撃分散がなんちゃらで基幹部分や搭乗者により多くの被害が出るとか何とか?
てっきりボディやシャーシ、フレームをケチる為の方便だと思っていたのだが、若しかしたら本当だったのかも知れない。
そう思ってしまう程カチカチの強ボディのギレスラは内部から破壊され尽くされてしまったかに感じられる。
つまり、皆さんの時代の日本国内自動車メーカーの主張は正しかったのである。
流石は技術大国日本だ。
車の安全性と自国の資源不足への適応を同時にクリアしていたとは…… 恐れ入った、素直に脱帽、感服である。
そんな風に私、観察者が第二次世界大戦後の高度成長を支えた日本の物作りに思いを馳せている間も、恐らく頚椎をやった血塗れの首曲がりドラゴンは無茶な後方飛行を続けていた。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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