【1967話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1967.凄味
さっさとキトラに向き直ったレイブは自然そのものな所作でゼムガレを突き立てた、あっさりと。
子供の頃、思いがけずヴノを殺し掛けた時と同じく、噴出した黒い靄の中で不思議なビジョンを見る事になった、当然初めての体験である。
まだ真名とやらに引き摺られているのか憮然とした表情のまま靄から出て来たレイブはミロンに向けて何かを放りながら言う。
「ほれキトラ爺さんの魔核だ」
「あ、はい」
「へー結構大きいですね、流石は四聖獣の一角、って事ですかねー」
ブロルの感想にも特段心が揺れた素振りは見られない。
「知らん、それよりも早く新しい依り代に入れてやれ、爺さんの知識は今後も役に立つだろうからな」
「え、あ、はい」
「てゅ、テューポーンさーん!」
変に迫力があるレイブの言動、指示されたミロブロはこれ幸いと草叢に駆けていく、アガリアレプトにぞんざいな扱いをされていた二人には居心地が悪かったのだろう。
それ位、自分のアイデンティティとやらを知ったレイブは渋ちん、いや、高圧的に映ったのである。
慣れぬだろうに、苦み走った男ぶりを維持し続けているレイブは珍しい、普段は疲れる、若しくは飽きた瞬間に止めているからだ。
そのままの表情でスタスタと歩み寄った先には、キトラの一撃で吹き飛ばされたまま、呆けた様に一部始終、キトラが兄レイブのゼムガレによって消失する様を眺め続け、その驚愕を留めながらも涙を流すギレスラの姿があった。
その前に立ったレイブは、片手に納まる程の小さな爬虫類、オサガメの幼体を静かに差し出して見せる。
『パッパ、南の池の長老、なのか……』
掠れたギレスラの声に返すレイブの声は相変わらず低いトーンだ。
「ああ、魔核、神様が抜けると依り代側も変化するみたいだな…… 恐らく憑依直前の姿に戻るのか…… 良く判らんが、この様子では今すぐ話したりは出来んだろうな」
ギレスラはモゾモゾ蠢くカメを両手で受け取りながら問いを続ける。
『元に戻るのか?』
レイブは相変わらず落ち着いた趣。
「さあな、この仕組みの経験者、ミロブロやパダンパはまだまだ馬鹿っぽいし、長老もこれから暫くはアイツ等と同じだろうからな…… 吸血鬼やガト、ああ、パイセンにでも聞いてみれば判るんじゃないか? いずれは俺達も、だからな…… だろ?」
なるほど…… このスリーマンセルもアスタロトの依り代、他人事じゃない所かサンブンコのせいで過去の知見も無いのだ、切実な案件だろうな。
改めて自身の未来に思いを馳せたのか、慎重に頷いたギレスラには吹き飛ばされる前の不平不満な表情はすっかり消え失せていた。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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