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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1167.慟哭


 ペトラ渾身のアリス全否定を受けた最長老は、自分の勘違いに落ち込む素振りも見せないだけでなく、尚、前のめりになりつつ元気な声を張り上げたのである。

『お帰りを今か今かとお待ちしていたのですっ! お言い付けの通りっ! この穴ぐらでゴブリン達を守って参りましたーっ! レンジャーの子孫達であるホブゴブリンと力を合わせて何とか、ここまで維持して参りましたーっ! うっ、うっ、うううっ!』

『えっ? だ、誰と間違えて…… アリスでは無いわよ?』

 只ならぬ様子にペトラの勢いも鈍った。
 最長老の声は悲哀を加えながら続く。

『長田殿も緒川殿もとうの昔に身罷みまかりました…… 数百年前に温羅うら君が、十数年前には王丹おに君も…… 私独りが生き永らえましたが、うっうっ、こうして再びお会い出来、これ以上の喜びはございません!』

『ええ…… ど、どうしよう?』

無碍むげに否定されるからですよ、全くっ!』

 最長老はいよいよ感極まったらしく、全身の毛を逆立てて白濁した瞳をギラギラと輝かせながら叫びを上げる。

『お帰りなさいませぇっ! 横綱っ! コユキ様! よっ、日本一っ!』

『へ? よ、よこづ、何?』

 ざわっ!

 更に狼狽して言葉を途切れさせるペトラと相反する様に、周囲のお付ラタトスク達がにわかにざわめきだす、曰く、

『コユキ様? 伝説のコユキ様?』

『ジーニアスボアと呼ばれた、あの……』

『でもコユキ様ってニンゲンだった筈じゃ? コレ豚猪でしょ?』

『だけどボアって呼ばれてたのよ、ボアって! だとしたら……』

 やはり仕切り役だったラタトスクは冷静だ、落ち着いた声で最長老に確認だ。

『最長老様、こちらの方、ペトラ殿は、その、豚猪の様ですが?』

 最長老即答。

『馬鹿めが! この儂がコユキ様をそこらの豚猪と見間違える物かっ! ええいっ、年寄り扱いするなっ! お恥ずかしいコユキ様、この娘等は皆、この儂、ヤマネの子孫なのですが…… いやはや、揃って道理を知らぬ馬鹿者ばかりでして! コユキ様を豚猪だなどと不敬の極み、どうかこの白髪に免じてお許しくださいませ』

『え、アタシ豚猪だけど…… コユキって人じゃないし……』

『え』

『『『『『やっぱり』』』』』

 そこらの豚猪との見間違いだった、残念。

 心酔していた筈の横綱を見間違えたショックからか、それとも周囲を囲んだイエスマンから一斉の全否定を受けたからかは定かでは無いが、最長老は一気に衰弱してしまっているかに見えた。
 その焦燥ぶりは凄まじく、空気を読む事、瞬時に調子を合わせる事に異常な程に長けたレイブですら、

「ドンマイ」

その一言しか発する事が出来ない始末だった程だ。

 お蔭で最長老の部屋を辞した時、見るからにタフガイっぽいグフトマが弱気な呟きを洩らす。

「ズンっとくたびれたな…… 東の出口には明日連れて行くよ…… 今日は休んでいってくれ、ゴブリンの世話もしなけりゃならんし…… はぁ~、ははは、ほら偉い立場を相手にすると気疲れがな、判るだろ?」

 それは会った相手の状態によるんじゃ……

 レイブも同じ様に感じただろうが珍しくグフトマに頷いて素直に後をついて行ったのは、やはり疲れを感じていたからかもしれない。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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