【1789話】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1789.謝意を伝えろ
殺す気で大ダメージを与えたにも拘らず、まだ腹の虫が納まっていないペトラの鼻息は怒気の嵐だ。
悲鳴を上げながらも後ろを振り向けないでいる父にパダンパが言葉を掛ける。
『ペトラ叔母さんは元アリス様なんだよ、これまでも潜在的な罪の意識からかムキになったり落込んだりさー、親父、早く謝った方が良いよ? 結構凶悪だからねー叔母さんて! 俺も何度か死に掛けたし……』
『なっ!』
『ブフゥッ! ブヒブヒッ! ブルルルゥーッ!』
キリキリキリキリキリィッ!
違和感しかしない変な音にそーっと振り返ったレオニードの瞳には凶悪な黒豚猪が口を歪ませて自らの牙を額横の巻き角に擦り付ける姿が映った。
誰かに聞くまでもなく、最終形態で臨戦態勢を整え終える直前、別の言い方だと、こうなってしまってはもう優しく無さそうな感じである。
尚更固まるレオニードに、この段になって漸く豚の兄達がアドヴァイスだ。
「おい、ヤバいぜ」
『早く謝るのだ、死ぬぞ?』
『ジ! ジジジジッ!』
シンプルなメッセージは事態の切迫さ加減を端的に、しかし正確に伝える事に成功した。
レオニードは耳にした瞬間、足元に頭を伏せて大声で叫ぶのである。
『済みませんでしたっ! 知らぬ事とは言え無礼を致しましたぁっ!』
キリキリキリ…… ギリリイィィッ! ギリギイギリーッ!
『っ!』
「あーあー」
『なって無いのだ』
『ジジジ……』
『えぇっ?』
研ぐとか磨くでは無く、自分で牙を擂り潰しそうなイヤな音が響く中、半泣きになってしまったレオニードに息子、パダンパが助け舟を出す、親子の情? そんな感じなのでは無かろうか。
『親父ぃ、ちょっと頭が高いんじゃないかなぁ?』
『え、こ、これ、以上どうしろと!』
パダンパは答えの代わりに深い溜息を返し、そうしている間にペトラ方面から響いていた不快音がピタリと消えた。
心からの謝罪の意思がやっと伝わった! そう考えたレオニードに絶望が襲い掛かる。
視線が交錯した瞬間、四肢の位置はそのままに、胴体を後方に下げたペトラは真一文字に引き締めた口角を一瞬だけ歪に上げて見せた。
双眸にはアスタロト由来の濃い紫色のオーラが炎の様に揺らめきの尾を引いている。
――――殺られるっ
そう思った瞬間、レオニードの体は動いた。
本人の意思とは関係無く、自然で一切の無駄を取り除いたスムースな体勢変化であった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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