【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1299.魔術
『っ! だ、ダダ坊っ! アンタ大丈夫なのっ! 今すぐ『回復』をかけてあげるからっ!』
「駄目だっ! 『回復』じゃお前の手でトドメを刺す事になるぞっ!」
『えっ! そんな! どーゆー?』
『これは…… 酷い臭いだな…… 膿か?』
「ああ、四肢がへし折れているんだ、急激に増えた体重に足が持たなかったんだろう、腐りかけてる、後は動けない腹部も擦れて化膿しているんだろうな」
『じゃ、じゃあせめて折れた足の部分だけでも『回復』を――――』
「だから駄目だってっ! 折れた箇所の上部を見ろよ! あの膨らみは粉瘤なんかじゃないだろ? 冷静になれよペトラ、いいか、私情は脇に置いとくんだよ」
『あ、あれって…… 魔力瘤? なんで全身じゃなくてあんな所に……』
『恐らく手足を失った事で魔力回路が上手く流れていないのだろうな、ほら、体の他の部位が肥大して浮腫んでいるじゃないか、主回路が断裂したんで微細な回路に流れ込んでいるのだ、昔、見た事あっただろう?』
『え、ええ、でも、ダダ坊が、こんな……』
いつに無く丁寧な説明をするギレスラは、ダソス・ダロスと知り合いらしいペトラに冷静さを取り戻させようとしていたのだろうが、当のペトラは目に涙を溜めたまま言葉を途切れさせている。
しゃがみ込んでいたレイブがスックと立ち上がり、腰の糊袋を叩きながら言う。
「さあ、仕事を始めるぞ! 糊を迎賓館に置いて来ちまったから一回で成功させような! ギレスラは背中に乗って少しづつ魔力を吸い取ってくれ! 俺は最初に魔力瘤から血を抜いて回り、様子を見て顎を一気に行くからな! ペトラ、流れた血を溢さない様に気をつけろよ? 回復のタイミングは俺が支持するからプチで長めに掛けるんだぞ? おいっ! 泣いてるなよっ! ダダ坊が死んじまうぞっ!」
『ご、ごめんなさいっ! もう、大丈夫』
「良しっ! 始めよう」
本来の魔術師の仕事、とはいえ、回収した血液はレイブ達スリーマンセルの色付き魔力の影響で使い物にはならないだろうが、それでも、死に瀕した魔獣に向き合う姿勢は熟練の手際よさを感じさせる。
ギレスラは背中に取り付いてゆっくりと魔力を吸収し始め、レイブは豚猪の血抜きポイントである下顎ではなく、四肢に生じた魔力の瘤を慎重に観察している。
ペトラは自分の背嚢から皮袋を取り出してレイブの横に立って準備万端、既に泣き止んで気の入った表情をしている。
後続の獣人達とガトは、誰が言うでも無く遠巻きで立ち止まり、スリーマンセルの作業を見守っていた。
心配そうな表情を浮かべたガトが洩らした声はこうだ。
「どうして…… アタシが里に降りるまでは普通に会話だって……」
言葉から察する事が出来るだろうが、今のダソス・ダロスは意識が混濁しているらしく、話す事はおろか呼吸すらか弱く不規則な物へとなっているのだ。
呆然と立ち竦むガトの肩に手を置いたのは、ヘビ面のシュカーラであった。
「任せましょう、彼等はその道のプロなのでしょう?」
「そうね」
頷いたガトであったが、その視線はまだ不安そうなままでレイブ達の動きから離れる事は無かったのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU
いいなと思ったら応援しよう!
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡