【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1705.白の貴婦人
一通り彼女の置かれた境遇を聞いたカーミラは憤慨し、ブーブー文句を言った後、暫らくの間プンスカ怒り続けていた、略すならブースカって所だが、まあ当然の反応だろう。
カーミラは彼女に禁忌を破ることを勧め、諭された彼女は何年ぶりかで家族の夕食の席に並んだのである。
虜囚の様に白く粗末な服に身を包んだ彼女の前には、あてつける様に羊料理とワインだけが出されていた、言うまでも無く彼女だけの特別メニュー(固定)である。
ニヤニヤと嫌らしい笑みで眺める家族たちを一瞥もせず、これまで頑なに拒み続けてきた羊肉を口に運ぶとそのまま躊躇なくワインの杯を煽って一息に飲み干して見せた彼女の変わり振りは、周囲が息を飲むほど潔く、又、美しくもあったのだった。
直後の事である。
周囲で彼女を見つめていた全員の顔に不気味な斑が浮かび上がる。
赤青黄紫緑…… 色取り取りで不自然で不健康そのものな鮮やか過ぎる斑紋は、時を経ずに彼等の全身を覆ってしまい、程無く、食卓に座る存在は痩せこけて虜囚服に身を包んだ彼女一人だけとなったのだ。
他の全員、この家に嫁いで以来、彼女にとって家族だった顔ぶれは、堅く冷たい床に肉を打ち付けるゴトリと鳴る鈍い音だけを残して、一人残らず只の死体と化して転がされていたのである。
給仕や執事、護衛の兵士すら倒れこむ中、青白かった顔を紅潮させて屹立出来ていたのは一人の女性だけである。
肉感的で健康その物な彼女、後にリーエと呼ばれ、無数のドブネズミ、ブルーカを率いる女性の誕生、いや覚醒の瞬間であった。
因みに、後日、主要な人物が謎の死を迎えたリヒテンシュタインを一族が訪れた時、無人の城には一匹のネズミすら残っていなかったそうだ。
一通り語り終えたカーミラは続ける。
「私の時の反省から、両名とも人目を避けて隠れ潜ませて居ります、あのぉ、呪いで一般人に迷惑を掛けたら駄目だと思いましたので」
カーミラの話を黙って聞いていたサタナキアは思う。
――――呪い、ねぇ…… 発動条件が復讐と怨み、か…… バアルが関わっているせいか何とも悍ましいわね…… 気持ち悪いわ! でも、まあ、強力な奴等である事には間違い無いからぁ…… うん、取り敢えず手下にして置くか…… 良しっ!
「それは良い判断でしたね、しかし、それでは二人が今日明日中に合流出来ない理由は何なのです? アタシは早く来て欲しいのですが? ねえ、何で?」
大分図々しさが垣間見える言い方にもカーミラは淡々と答える。
「はい、以前私自身がお叱りを頂いた事を鑑みて、両名には隠れ家から動けない様に封印を施したのでございます」
「ふ、封印?」
「はいっ! とは言いましても未熟な私では精緻な魔力操作など出来ませんので…… 取り敢えず私自身が錫のお人形に封印された際の物を複製して施してありまして! あのバアル様ご本人とサルモクシス様にしか解除出来ないヤツでございます!」
「ほぅ」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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