【2300】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2300.水平伝播
アルティメット…… 究極にして最高峰、つまりウルティマ。
その偉業を成し遂げた者には破格の報酬が与えられる。
まああっちで毎年開催されている、『はっきょいノコッタ全国おすもう大会グランドチャンピオンシップ』の優勝者にも様々な報酬が与えられてはいるのだが……
具体的には、最早、何の価値も無くなった紙幣なんかじゃ無論、無い、あんな物は絵柄が多過ぎてメモにも使えないし用足しのお供としてもサイズ感的にイマイチ不安だ。
かつて一世を風靡した銀行券は、今やチラシの裏やイタドリの葉っぱ以下にまでその地位を陥落させられていたのである。
皆さんの時代と比した場合、他にも表彰式から無くなった物がある、天皇賜杯や内閣総理大臣杯、それに各国政府から送られてきた無駄に国威をひけらかしたカップや印象深い意匠の副賞の類だ、察して頂きたい。
この時代の表彰式で贈られる物品は、全て、現実的な利用価値がある物ばかりである。
穀類とか干し肉とか干物とか様々な種子、堆肥や虫除けの木酢液、モンスターとかの毛皮、ドングリ、薪、綺麗な石ころ辺りが大体一年分とかのざっくりした単位で贈られる。
結構人気が高い副賞、煎茶ざっくり一年分を受け取ったレイブ、続いて授与されたのは、遂に目的のブツ、漆黒の念珠、アンラ・マンユである。
思えば十六年前、この極東の島国に赴いた目的はキトラの代わりにヒュドラの依り代を探す為であった。
途中からお相撲自体が楽しくて忘れ掛けてはいたものの、思いがけず手に入れてみるとそれなりに感慨が湧いたりもするんだな? 改めてそう思うレイブであった。
プレゼンターの酒臭い老婆、茶糖のツミ子からアンラ・マンユを首に架けられたレイブは思わず呟いた。
「これが半生ムニュ」
「アンラ・マンユだね」
「あーなるほど」
「本当は対になる白いのがあるんだけどね、そっちは無くなっちゃったんだよ」
「ほう、それは?」
「アフラ・マズダって純白の念珠さね」
「え、アフロ――――」
「アフロ増田じゃなくてアフラ・マズダだからね」
「……そうだと思ったよ」
「そっちは悪魔や精霊を入れられるんだけどねー」
「ほー」
露骨に物欲しそうなレイブにツミ子は言葉を続けた。
「まあアンタが大陸に帰れたら探してご覧よ、見つかるとは思えないけどさ」
「えぇ、あっちにあんのか?」
「まあね、もう大昔に持って行っちゃったんだよ、帰って来たのはアンラ・マンユだけでねー」
「持って? 誰が?」
「その頃の持ち主だよ、長短っていってね、あたしの大姪婿だったんだよ」
「ナガチカっ? ほう、それはそれは……」
「何だい? ニヤニヤして気持ち悪いね」
「べっつにー♪ ヘラヘラヘラー♪」
「そ、そうかい?」
こうしてアンラ・マンユを入手したレイブはもう一つの副賞、只でさえ強い奴に与えるのはどうかと思う破格のスキル、『加速』をも入手したのであった。
鬼に金棒、虎に翼、獅子に鰭の強力スキル、伝授方法は丹波晃が考案したウィルスを媒介させる水平伝播法で、レイブはRNAの書き換えが終わるまで幸福寺自慢の地下シェルター、通称、改造実験室インフェクティド十三房に閉じ込められた。
当然、例の音楽も流れ続けていた、強力なスキルだけで無く精神まで鍛え直して強化出来たのである、良かった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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