【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1573.武勇伝
「北海道に上陸してからはまあ順調でした…… でも、油断大敵、その事を思い知らされました……」
言いながら自分の衣装の脇を捲り露出されたマナナンガルの腹部には鋭い爪で抉り取られた様な無残な傷跡がくっきりと残されていた。
ヒグマだろうな、そんな感じで思わず顔を顰めるレイブである。
その後、千島列島を島づたいに北上したくだりでは、ゴシショ一人の独擅場、おっと皆さんの時代では誤用の独壇場のが判り易かっただろうか? とにかく彼の武勇伝オンステージとなったのである。
下帯一枚、つまり半裸になったゴシショは全身に刻まれた傷の一つ一つを誇らしげに説明していく。
「で、この両肩に空いた大きな傷がセイウチで、左耳を潰しやがったのがラッコのホタテ攻撃ですね」
「うっわぁー」
『そ、それより左胸の穴であろう! なあ、それは一体?』
「ああ、こいつはイッカクですよ! 不覚を取りましたー、あはは」
『痛くないの? ってか良く生きてるわねアンタ』
「ね? これもバアル様のお蔭なんですよ、凄くないですか?」
「おお、凄いよ!」
『と言うか、若しかしてお前等、既に死んでいるのではないのか?』
「いや、やめてくださいよー、恐いなーもうっ!」
「全くですわ、縁起でもないこと、うふふ」
『あーすまんすまん、失言だったのだ、グハハハ』
ギレスラ、それ多分だが当たらずとも遠からずだぞ……
『でヴラドだっけ、アンタは傷自慢に参加しなくて良いの?』
一人だけ手負いの瀕死比べに加わっていないヴラドにペトラが聞いた。
仮に自慢できる傷痕を持たなかったとしても、門外漢を決め込んで無言のままでいる事にどこか不自然さを感じたからに他ならなかったからである。
皆さんの周囲に置き換えてみればお判り頂き易いのかも知れない。
とは言え、実体は兎も角、表面上平和で通している令和日本では他人に見せびらかせる大怪我の痕なんておいそれとは負えないだろうな…… 一番近い物と言えば…… うん、病気自慢がそれに当たるのでは無いだろうか?
そう聞けば高齢者なんかが日中のクリニックの待合室や談話室で過去の大病や現在進行形で患っている疾患を披露したり日常の不便さの度合いを互いに競い合う心温まる風景を想像されるむきも多い事だろう。
そんなアットホームで笑顔溢れる会話は時に、不幸自慢、つまり同居家族への不満や周囲の人間の不愉快さ、自分の人生に対して降り掛かり続ける理不尽のフルコースにまで拡大してしまう事も珍しくない、無論、内容が苛烈であればある程、正確さは欠く事になるのだが……
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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