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【2085話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~

2085.普通

 およそ一月ぶりにサッパリとしたペトラはカムチャツカの涼やかな風に漆黒の体毛をなびかせながら爽やかに言う。

『あぁ~、お腹が減ったわぁ~』

 堕落した個体は堕落し得る環境でこそ生まれる。
 同じ環境で同じ様に堕落した兄、ニーズヘッグの赤いのは首を斜めにしたまま答える。

『そう言えばハラペコなのだ! 何か持っていないか、カタボラ?』

『グガァ? えっと…… モンスターの干し肉とかなら……』

『くれっ!』

『アタシにもっ!』

 錯覚に基づいた楽園、居心地良く感じてしまう居場所から抜け出す為に大切なのはまず体力、美味い食事と充分な休息による回復である。
 そもそも傑物らしい竜と豚は早速その端緒たんしょを開いた様だ。

 余談ぽいが次の段階では己の見た目、身嗜みとかで周囲との差異を無くす行動である。
 服装や髪型は一切の考えや嗜好を捨ててなるべく普通にする、もう、何も考えずに普通にだ。

 こいつ変わってんな? とか、アタシはその他大勢のモブとは違うのっ! とかの勘違いを自ら打ち消さねばならないのだ! 頑張って普通、量産型でなければ無らないのだから…… だってドロップアウトしていた時点でアブノーマル、異常者なのだからそんな忌わしさはこの再出発な時点で消し去って置かなければならないからだ! 頑張って普通になろう!

 勘違いで妄想壁で気持ちが悪い、自分は特別っ! 的な価値観は優しい家族以外には一切通用しないっ! だってそこらに溢れ返っている普通の人間に過ぎないからだ、見た目と同じである。

 念の為に言っておくが優しい家族だって他者と比べて特別なんて思ってはいない、優しく支えていればいつか馬鹿な夢から覚めてして本来の才能、だと気が付いてくれるだろう、いつかきっとっ! 早くしてっ! そんな儚い希望を抱いているだけなのだ。

 滑稽に感じるかもしれない…… 自分だけは特別で他人とは違うんだいっ! そう思っている人物の身近な人々は願っているのだ、早く目を覚ましてせめて普通になってっ! と…… 切なさがエグいし、客観的にはとっても寒い。

 んで、小さな頃から言葉を選び、甘やかして気を使ってまるで王子様か王女様、そんな風にして来たから辛辣な真実を言えないままで放置する、引き篭もっても太っても社会的に不適格なサイトを閲覧していても取り敢えず見逃す。
 育児や教育のハウツー本を買い漁って最新の研究によって育てたのにこの結果? うちの子、悪い人間だったの? そんな…… うん悪い子じゃ無いよ、親が悪かっただけでその子は被害者だよ。

 遥か昔、呼び方さえ知らない凄く遠いご先祖様達も頑張って続けてきたんだ、嫌われようが反抗されようが憎まれようが…… 悪い事をしたら叱って夕飯を抜いたり説教したり、不潔だったら力づくでも清潔にさせて、出来なくても逆上がりや勉強を努力させて時には褒めて、我儘は怒って献身は讃える、賞状とかには感涙で応え、万が一、過ちを犯して法に触れたのならば罪を償わせる。

 普通にやれば普通になれるのだ、幾つからでも。
 とは言え、人間社会ではこれが中々難しかった様だ…… 世間体とかも邪魔したりするからなぁ……



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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