【1942話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1942.加齢なる香り
長老キトラは臭かったらしい。
恐らく沼や海、水生生物のソレ以外に加齢が原因だったのかも知れない、その論拠は同じ水属性のグラムランドには同様の発言をしていなかったからだ、判りみが深い。
私の憶測、その正確さはギレスラが呟いた次の言葉で信憑性を爆増される。
『何か枯れ草? それに青臭さに加えてモンスター汁を炎天下に放置した時みたいな匂い、いや悪臭なのだ…… これは忍耐力を試されている場面なのか?』
『ゥグッ……』
顔を顰めながらも真っ直ぐな視線、外連味の無さが一層鋭利にキトラのSAN値をガリガリ抉り続ける。
ギレスラの言い口から察するに、幼かった彼にはキトラに関する記憶が無いらしい。
素直は間違い無く美徳だが昔馴染みの全身がカサカサして行くのを見逃す程、レイブは冷血でもサイコパスでも無い、慌ててフォローを投げ掛ける。
「ぎ、ギレスラぁっ、それを言うならアレだろ? 枯れ草じゃ無くて、えと、干草? だろー! アスタさんがいてくれるだけでもうお腹一杯だし? それに青臭いは草原を渡る爽やかな風、モンスター汁は食べ物、つまり美味しそうって事じゃん? まあアスタさんがいてくれるだけでもうお腹一杯だもんなっ!」
『そ、そうか…… ほっ、良かったわい』
胸を撫で下ろした感じのキトラだが、言うまでも無く嘘だ、大嘘なのだ。
饐えて腐って老いさらばえたシワシワなキトラは安堵の吐息と共に言う、因みに吐息はヘドロっぽい、重度の歯槽膿漏だろうか、心配だ。
『若者の反骨心、所謂、理由無き反抗なら慣れっこじゃわい! で、どうじゃ? 我が神の依り代になってみぬか? まだ若いのじゃ、力が欲しかろうて?』
ギレスラは判り易く戸惑っている。
『ん? 理由ならあるのだ…… さっきから言い続けている様に爺さんの体臭、それに口臭だって――――』
「あーあーあーっ! ギレスラっ! アスタさんがいてくれるだけでもうお腹一杯だろっ? だよなっ? 大丈夫だよ長老っ! ほれ、コイツ若いからさっ! 最近何にでも噛み付くんだよー! アレかな? 溢れ出すホルモンを制御し切れてない、とか? そーゆー? なはは♪」
『いやレイブ、我は――――』
「黙れっ! 取り敢えず笑えっ! えっへっへっへぇー、なははは♪」
『えっ?』
「ワラエ…… なははははっー♪」
『な、なははは♪』
ギレスラとレイブは声を揃えて笑った、キトラも自分の香りに気が付いていない様だ、鈍くて良かった、老化かな?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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