【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1437.見る事
ガトの人間部分、主体と成っている精神や身体は、目の前の幼馴染で自分同様にゴライアスの子、レイブから発せられ続ける威圧、言わば暴の気配にスッカリ威圧されてしまっていたのだが、そこは同じく中身入り、同格の魔神の加護に縋って何とか言葉を返す。
「あ、うん、助かったわ、でも、こいつらってすぐ再生しちゃうのよ? 兄さんのお蔭で一旦は救われたけどさっ、根本的な解決には繋がらないの――――」
「はんっ、これだから貴様はっ、そんな調子だから戦いに不向きな魔神だとか何とか噂されてしまうのだっ、全くっ!」
「むっ! 聞き捨てならないわね! じゃあどうするって言うのよっ! こんなの誰だって脱出不可能、所謂無理ゲーなんじゃないのっ?」
見た目はレイブ、どうやら中身は怪物の始祖、魔神アスタロトらしい存在は両手を広げて肩を竦め、如何にも残念そうな表情を見せつけながら答えたのである。
「そーゆー所だぞ、この世界に無理なゲームなんぞあるものかっ! そんな言葉をヒロフミにでも聞かれたらどれ程小馬鹿にされると思っているんだっ! 全くぅっ!」
なるほどね。
如何に大変だったとしてもゲームに例えたらあの時代のあの親父だったら絶対納得してくれないだろうな、それは理解できる、んだが……
「ヒロフミ? ああ、コユキのお父さんよね、それって? 今はそんなふわっとしてる場合じゃないのよっ、何か策があるなら具体的に言って頂戴よっ! 見ての通り待った無しっ、そんな状態なのよ? 判るでしょっ!」
答えるレイブの表情、恐らく中身のアスタロトは心底呆れた、もう呆れの極みっ! そんな顔付きで言い放つ。
「具体的に、だと? 全く持って話にならんっ! 今回の具体的な対応策が他の場合でも使えると? 本気で言っているのではあるまいな、サタン、いやガトよ? はああぁぁぁ~、仕方無い、時間も無い事だし今回はこちらで解決してやるとしようか…… おい、やってやれ、テューポーンっ!」
『ジジジッ!』
何かを命令された緑のバッタは、待ってましたとばかりにレイブの肩から飛び立って真っ直ぐ魔石の山に向かっていく。
その勢いのまま山を通り過ぎたバッタはその先に放置されていた三枚の金属板の一つ、『再生雨』用のヤツに停まると一際大きな声で鳴く。
『ジーッジーッ!』
この声を聞いた中身アスタの貫禄溢れるレイブはガトに向けて言葉を放つ。
「良いか? その都度都度で自分に残された武器や手段を注意深く見るんだ、石榑や関係する者共、気候や季節、咲いている花や通りすがりの鳥の声さえも利用できる物は何一つ無駄にしてはいけないんだぞ? ほれっ! 答えは最初からそこにあったであろうが? テューポーンッ!」
『ジジッ!』
ガキンッ! メッシャッ! バラバラバラ……
号令一下、力強く振り下ろされたテューポーンバッタの細っい足は、一撃で『再生雨』を発動する為専用の金属板をメシャメシャグッシャグッシャに踏み砕いた。
瞬間、周囲で再生し始めていたバイコーン達は、これまでとは違って塵一つ残さず消え失せたのである。
目を剥きだして固まっている一同に、レイブの中からアスタロトの自慢げな声が掛かる。
「くははは、それ見た事かっ! 見事に解決、一件落着だろう? これが観察、注意深く見ると言う事だっ! 覚えて置くが良いわっ! くははははぁっ!」
これでもかと胸を張り、大仰に広げた両手の掌を上に向けながら、得意の絶頂を体現させているアスタロトインザレイブはその姿勢で満面の笑みのままパタリと倒れて動かなくなった。
恐らく周囲に立ち込めていたバイコーン由来の濃密な魔力が消え失せた事で顕現不可能に陥ったのではなかろうか。
「見る事、か……」
仲良く並んで気を失うスリーマンセルを尻目に掛けながら、ガトが洩らした呟きは真剣そのものな響きを含んでいた。
「お、お、おぉおぉ、あ、亜神様のぉ、あ、アーティファクト、がぁ、おぉぉ、おおぉぉぉ」
少し離れた魔石の山の隣では、這う様に近付いたヘビ顔の獣人が、元金属板だった欠片を手に、啜り泣き続ける嘆きが止む気配なく発せられていた。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU
いいなと思ったら応援しよう!
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡