【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1198.賞賛
やり取りに目を奪われていたグフトマは一層優しげな表情でレイブに話しかける。
「レイブ、お前は偉いんだね、私は心底感心したよ」
「え?」
思いも寄らぬ太師匠からの賞賛に当のレイブは思い当たる事が無いらしく、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で驚きの声を上げている。
グフトマの言葉は続く。
「だってそうだろう? お前自身のうっかり、失敗で巻き起こった魔石充填作業じゃないか! その中で一人だけその作業が苦手で役に立てない…… 普通なら腐って不貞腐れても可笑しく無い、いいや、多くがそうするだろう場面だと言うのにお前は一所懸命に働いているだろう? 中々出来る事じゃ無いんじゃないかな? だから、私はお前が偉い、そう感じたんだよ」
レイブはラタトスクから受け取った魔石を並べながら言葉を返す。
「ああ、えへへ、俺って慣れているんですよ、そーゆーのって♪」
「慣れてる? どう言う事なんだい?」
作業の手を止めないままでレイブは語った。
子供の頃に遭遇した魔力災害によって死に掛け里人としての人生が失われた日の事を……
そして、バストロに師事しながら不器用な自分が必死に目指した魔術師見習いの日々。
師匠達のスリーマンセルのみならず、新たな家族のように感じたフランチェスカの仲間達をも失った事、そして、自らもペトラ、ギレスラと共に道を絶たれる事になった黒の襲撃者との邂逅……
魔術師として『役立たず』となった自分が、内に宿した魔神アスタロトの依り代として与えられた任務、竜の里への使いとしての旅立ち、更に当のアスタロトの消失……
ここまでの人生を自嘲気味な笑顔を浮かべて語って聞かせたレイブは、話の最後を次の様にまとめたのである。
「ですから慣れているんですよ、目指した道じゃなかったとしても、やれる事は目の前に沢山有る訳ですし! それに……」
「それに? なんだい?」
それまで忙しなく動かし続けていた手を止めたレイブは、グフトマの顔を見つめて問いに答える。
「アスタロトさんが言っていたんですよ、今目の前に有る事一つ一つに一所懸命にって! 精一杯働く位なら俺にも出来るでしょ? だから、せめて、ね♪ 昔いた偉い人たちや悪魔達、真なる聖女コユキ様や聖魔騎士善悪様なんかもそうやっていたって聞かされたんで! そうしようとしているだけなんですよ、出来る事を精一杯、一所懸命に、ってやつなんです、だから別に偉くはないんですよ? えへへ」
「レイブ……」
思わず、そんな感じで言葉を途切れさせ、自らの孫弟子を感慨深そうに見つめるグフトマである。
対するレイブはその真摯な視線から逃れる様に、目の前に積み上げた充填済みの魔石を肩に背負うと赤らめた顔を隠すようにしながらやや大きな声で言う。
「さて! ゴブリン達にご飯をあげて来ますね! 太師匠はお疲れでしょうからあっちで休んでいて下さいよ! 空魔石の回収も俺がやっておきますから!」
そう言うとラタトスクのリーダー、パイロの後に付いて広場の下段、ゴブリン達の居留地に足を踏み込んだのであった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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