【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1625.快進撃と憧憬
無論、願う心の渇望が強ければ強い程、後に自身に向けられる信仰は篤くそして深く無垢な物となって還ってくる。
例を上げると、金持ちになりたい、的な願いは悪魔に言わせると渇望が足りないっ! まだまだだなっ! とかの部類になったりする。
理由は考えれば簡単だろう、得た金銭や財宝を使い切ってしまった時に感謝や信仰は維持出来るだろうか、ね?
恋愛や美貌、名声なんかも同じ理由で願いのヒエラルキーでは下位である、滅多に来て囁いてくれる事は無いだろう。
まあ、どんな事にも例外と言うか望外の幸運とか呼ばれる事例はある訳で……
そんな、人によれば稚拙で取るに足らない願いであっても囁きを得る事はある、大概は食い詰めて消滅直前の悪魔、信仰を失った弱者の声ではあるのだが。
彼等はたった一人に向けて古来から信じ続けた台詞を囁く、力を欲するか? と……
ありし日に尊崇と畏敬を持って仰ぎ見られた自分の復権までを夢見ながら。
独りよがりの歪な我欲を満たす彼等とて馬鹿では無い、当然信仰を長続きさせる為の手を打ってくるのである、例えば信仰を失った瞬間に全ての富を失うだとか、意中の相手に嫌われるだとか醜く老いさらばえるだとか、所謂呪いを約定に加える訳だ。
オーディエンスの皆さんが悪魔に望みを叶えて貰う場合はこの、付随している部分にこそ注意が必要なのである、憶えて置いて頂きたい。
まあバアル位の大物であれば個人の信仰に一々心を砕く事も無く、行く先々のリーダー達、国主や公、宗教や民族の指導者を対象にサクサクッと手下を増やし続け、世紀が変わる頃にはヘルヘイムを新たな軍団で満たしたのである。
お蔭で地上では、東ローマ帝国は最初の斜陽を迎える事となり、十字軍はパレスチナに於ける国家の全てを失うはめになる。
更にはモンゴルは全盛を迎えユーラシア全土がその猛威に晒され捲り、その後数世紀に及ぶ大帝国、オスマンにつながるイスラム王朝を誕生させたりしたのだが、これらはオマケ、バアルの求人募集の副産物に過ぎないのである。
恨みや復讐心、支配欲や功名心に溢れかえった世界は、かっこうの新人発掘の場、魂のリクルートの舞台にピッタリだったのだ。
充分な軍団を補充したバアルはご機嫌ウハウハで幹部候補の勧誘や自身の依り代探しにそれからの殆どをヨーロッパで過ごす事になる。
ヘルへイムから派遣され、ニブルヘイムの警備に当たる軍勢を目にしたサタナキアはしみじみと言ったそうだ。
「良いなぁ~、ってね…… ほら、サタナキア自身には直属の軍団とかいなかったのよね」
「おう、それでどうしたんだ?」
「バアルを真似てね、隙を見てスカウトに向かったのよ、地上に」
『ほう』
『それで? 上手くいったの?』
「う、うん……」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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