【1939話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1939.可愛いだけじゃ
『決めたのならそうすれば良い、まあ、求められている物、お主達を選んだ魔神アスタロトの望みはまた違うのじゃろうがな……』
おい、カメ、止めろよ!
私、観察者がここまでの努力を無にしないよう願う中、こっちの気を一顧だにしないカメとキグルミ志願者の会話は続く、いい気な物だ。
「アスタさんが俺に求める物? 滲み出す愛くるしさや抗い難い魅力以外に?」
いい気な物だ。
『そりゃそうじゃ、憑依する側も依り代に抱く期待は同じじゃからの、幾らお前が見目麗しくとも見てくれだけとはいかんわい』
それはそうだが、言う程麗しくも無いんじゃないか? まあ自己評価に過ぎない内は良いけどね。
「そっか…… 可愛いだけじゃ駄目、ですか……」
『まあの、入れ物と容れ物だからのう、お互いに影響し合い与え合う、言わば互恵的関係じゃからな、レイブよ、お前だとてアスタロトに期待する物はあるのじゃろう?』
レイブは思った通りに答える。
「神様に期待って…… 最初にジャッカローブから助けられて以来、ずーっと守って貰いっ放しだからなぁ~、こっちからお礼もした事無いしこれ以上何かってのもなぁ……」
常識とか分別とか加減とか按配とか謙遜とか奥ゆかしさとか慎ましさとかで良いんじゃないか?
『そんな事は無いと言ったじゃろ? 憑く側と憑かれる側は相身互い、フィフティーフィフティーなのじゃ! ましてや文字通りの一心同体、遠慮する方がおかしな事だぞい?』
「そっか……」
レイブは考え直したが、やはり特段の望みも欲しい物も思い付かなかった、と言うかアスタロトに願っても叶えられなさそうだと判断した為、考えるのをやめるしか無かった、哀れだ。
『とは言え、願う時には慎重にな? 奴は迂闊じゃからな、昔、依り代だったサウルがロバを欲しがった時なんぞ勘違いで国を与えたりもしていた位じゃ…… どこをどう間違えたらそうなるのか…… 暫くは神々や悪魔の話題を独り占めしていたんじゃぞ』
「うあぁ」
あっ、新しい背嚢は? ちょっとそう思い始めていたレイブだったが何も要らないと思い直した。
理由は、何と勘違いされるか判ったものじゃない、であったが、もしかしてこの思いも伝わってるのか? そう考えた後は、アスタさんがいてくれるだけでもうお腹一杯♪ そう心中で連呼する方向で行く事にした、これは非常に賢明で正しい対処法である。
大きくて単純、繰り返される声が内容以上の効果を持つ、この事実は令和の混沌期にお住まいな皆さんならば言わずもがな、でしょ?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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