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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1181.故事


 一方、この故事が生まれた中国では使い方に少なく無い違いが見られる。
 日本では愚かなが騙された事柄に注目したり、ともすればずる賢い狙公そこうの欺きに言及してはいるが、中国では概ね、指示した事を配下の意見ですぐさま変更した狙公の愚に対して否定する事が教訓となっているのである。

 ん? そんな故事成語って他に無かったっけ?

 そう思われる方が居られるだろう、ええ、チラッと聞くと文字面もそっくり、朝令暮改と全く同じなのだ。
 朝決めた法令が夕方には変わっているなんて…… ふぅ~あてにならねーなー! これが朝令暮改だ。

 ほらほら、一度決めた事を深い思慮も無く変えちゃうから事になっちゃったじゃないの~! こちらが中国で言う所の朝三暮四である。

 お分かり頂けるだろうか?
 そう、事? って? 一体何が起こったと言うのだろうか?

 結論から言おう。
 狙公が朝と夕方のトチの実の数を入れ替えた事で、猿たちはいつも通り、いいや、いつも以上の贅沢な夕食に有り付く事が出来たのである。

 おお? なんでだよ! おい観察者よっ! お前算数とか判ってんのかっ!
 そんな否定は勘弁して頂きたい、今からちゃんと説明しますから。

 同種を食わされ個々の能力値を引き上げられたましら達、狙は次の日任務に出ると昨日決めた事を実行した。
 小戎しょうじゅう毎に手段は違っていたが結果は同じ、それぞれが率いた五十人の隊は判で押したように数を減らしていたのである。
 帰還兵の数は申し合わせていたかの様に三十七人、いや申し合わせていた通り十三人減っていたのである。

 翌朝、狙達は残存兵の人数を申告して、前日と同様に朝の分としてトチの実四つ、夕方用に三つ合計七つを受け取ってその日の任務に出かけた。
 輜重しちょう隊の糧食係は首を捻っていた、狙が率いる全ての隊が同じ人数を失うとは不思議な事が有る物だ、と……

 不思議な事は続いた。
 この日帰還できた配下の数は二十七人、又しても全ての隊が同じ数である。

 翌日も同じ数の帰還は続く、二十人であった。
 元々は五十人の小戎である。
 兵の半ばを失えば作戦の遂行に支障をきたす、当然、軍の編成を担当する武官に補充のしらせが入る事となった。
 となれば、ここ数日の不自然過ぎる損耗具合が取り上げられるのは容易に想像できる。

 武官は狙公を呼び出して事の次第を聞きだそうとした、何か特殊な任を遂行中なのか、と。
 話を聞き、毎日の犠牲者数を目にした狙公の顔色は見る見る間に色を失ったと言う。

 既にお気付きだろうが、老婆心と思いつつ説明を加えてしまう私、観察者である。
 五十人の狙に夕方与えるトチの実は百五十個。
 三個に減らさずに四個づつ分け与えれば三十七人で余りが二個だ。
 二日目は三十七人に三個で百十一個、二十七人に四個づつで三個余る。
 三日目は八十一個持ち出して八十個使い余りは一個になる。

 狙公は思ったのだ。

――――狙共、トチの実食いたさに帰還兵を減らしてやがる!

と……

 更に狙公の思索は続いた。

――――帰らなかった狙はどうした? ま、まさかっ! ちぃっ、食いやがった、のか?



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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