【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1647.それいけ!
うんうん唸る馬鹿と首の兄弟に、羊の首持ち係りっぽく気配を消し続けていたローザリアがボソっと心中を吐露する。
「ねえアタシ一度帰っても良いかな? お腹も空いて来たし…… あっ、このミオリとクリト? の首は貰ってっても良いのよね? 季節がら痛んじゃってもぉ、ねえ、勿体無いもんね? ね♪」
痛むじゃなくて傷むな、多分そいつらもう痛いも何も感じていないぞ。
イートゥルは反応良く答える、が、少し呆れを含んだ軽蔑の眼だ、やむを得まい。
「あ? ああ良いんじゃねーの、なぁ兄貴? ……兄貴?」
弟の呼び掛けに無反応な兄の首、若しかして漸く逝っちまったのだろうか? いや、寧ろ逝かなきゃおかしい状態だったのだが。
お、口が動いた、どうやら答える様だぞ。
「いや、待てよイーチ…… これは案外名案、渡りに船かも知れんぞ? いやいや、ローザ一人ばかりいた所で焼け石に水か……」
「む? 何だ、何かあるのか兄貴!」
「いや、まだそうと決まった訳では無いのだが…… むっ?」
何か屈託を感じているらしいカリオペ兄さんの耳に騒々しさ満点の叫びが聞こえた。
「イーチィっ! 待ってってばぁー! はぁはぁ、漸く追いつけたわね、はぁはぁ、あっ、ローザリア姉さん」
「サンドラ、それに貴方達も来たのね、アタシはもう帰る所なんだけどさ」
「「「「「ローザリアさん、チィースっ!」」」」」
南の峡谷にいたイートゥルの仲間達も追いかけて来た様だ。
因みにサンドラとこの五人の少年は小さな頃から滅茶苦茶運が良い。
その証左は今現在健康で生きている、只この一事に尽きる。
二手に分かれて殺し合うカリキュラムの中で五体満足でいられた理由、つまり全ての組み分けでイートゥルのチームメイトを引き当てた幸運持ち、中々得られる才能では無いだろう。
まあとは言えゲタイはゲタイだ、他所ではちょっとお目に掛かれないムキムキが、一気に六人も増えると結構壮観ではある。
追い付けた事が嬉しかったのか、揃って息を切らしながらもヘラヘラ笑っている六人、多分イートゥルが走り出した理由なんかとっくに忘れ去っているのだろう、悩みが無さそうで羨ましい限りだ。
今も互いに肩なんか組んで腹が減っただの喉が渇いただの馬鹿みたいに騒ぎ出している。
顔だけは良いサンドラも同様にお馬鹿さんらしく、イートゥルに向かって聞く。
「ねえイーチ、お弁当持ってくれば良かったわね! お腹空いちゃわない?」
「馬鹿言うな! 飯なんか食ってる場合かっ!」
当然だな。
「何怒っているのよ! んもう気分屋なんだから!」
おう、彼の気分にしっかり惻隠すりゃ判るんじゃないかな? ここまでダッシュした理由も含めてちゃんと考えてみれば良いさ。
理由が間に入る。
「おう、お前等」
「ん? って、か、カリオペさんっ! はっ! そ、そう言えば……」
「「「「「カリオペさん、チィースっ!」」」」」
こいつら物凄いな…… 鋼のメンタル所じゃないぞ……
理由は弟に抱かれたまま、上向きだったので空を眺めながら笑顔で言葉を続ける。
「なあお前等、腹減ってるんだよな?」
「え、あ、まあ、でもそれ所じゃ無いですよ、ね?」
「「「「「ウィッス! ペコペコっす!」」」」」
こ、こいつら……
「だったら俺の頭を食べれば良いよ!」
「えぇっ!」
「「「「「えっ!」」」」」
何パンマンってかどんなダークヒーローだよ、リアルな人間だぞ、夢に出るわ。
「あ、兄貴」
「良いんだよ種族の為だろ! イートゥル、お前も喰うんだ、それいけ!」
これ紀元前の事なんだよな…… 凄い偶然の一致じゃん、うわぁ鳥肌ー。
とまあ、文化的な世界に生きる諸民族には揃って唾棄されるだろう壁を、若きゲタイ達はあっさりと越えた…… 恐らくだが、何の為に生まれ何の為に生きるのか、その問いに答えられないなんて嫌だったのではなかろうか?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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