【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1213.ナビゲーター
いよいよ崩壊の最終段階に入った隠し穴中央の広場では、瓦礫ではなく構造上の躯体、所謂基礎や土台に当たる重要部分がメシャメシャ、ガラガラと文字通り音を立てて崩れ落ちていたのである。
『グフトマよ、生きて未来を拓くのじゃ、じゃあねバイバイ』
最後の言葉を残した最長老、アウゲイアスの気配も消失する、今度こそ召された様だ。
アルペイオスの泉前に一人きりで残されたグフトマの顔からは、既に迷いの類は見つける事が出来なかったのである。
足早に広場に戻ったグフトマは大きな声で配下のホブゴブリン達に指示を出す。
「ゴブリン達を居留地から出すぞっ! ぐずぐずするなっ! 直近の南の出口から出ようっ! 急げっ! 隠し穴を捨てるのだっ!」
「「「「「レンジャー!」」」」」
高い練度で鍛えられたホブゴブリン達は、指揮官の決定に僅かな疑問すら抱く事無く、やるべき事を黙々と消化していく、頼もしい事この上ない。
魔石や空魔石を背負っていち早く南の出口に走り出す者、念の為、漆黒のヘルムを被りゴブリン達の誘導を始める者、素早い動作で崩れ落ちた瓦礫を撤去して脱出経路を確保する者、各々が出来る事に一所懸命、それはもうガッツと闘魂に溢れた働きぶりだったのである。
グフトマ自身は全身を銀色の金属質に変えた鋼体術を起動させた状態で叫ぶ。
「行くぞっ! 遅れるなよっ!」
そう言って走り出す彼の小脇には、大人しく抱き上げられた緑色が一層濃い個体、レイブ曰く緑のヤツがキョトンとした表情で寄り添い、トロルと評された大きめの個体がその後をピッタリと追い掛けるのである。
そしてホブゴブリン達に追われたその他のゴブリン達がギャーギャー騒ぎながら彼らの後を追い、全ての命有る者が通路の先に消え去ると同時に、完全に崩壊した躯体が広場とゴブリンの居留地、最長老の間をも残らず圧し潰したのである。
コユキの指示によって作りあげられ、数千年の長きに渡りゴブリン達を隔離保護して来た『小人の隠し穴』は、この瞬間、永遠に失われたのである。
「ばっ、今の所は左だぞっ! 待てってば、ギレスラーッ!」
『レイブお兄ちゃん左じゃなくて左二よ! このままじゃ迷っちゃうわ、どうするの?』
「どうするも何も追い掛けるしか無いだろ…… おーい、ギレスラーッ! 取り敢えず一旦留まれってーぇ! おーいぃ!」
先行して通路の中を飛翔していたギレスラが、道順を違えたにも拘らず呼び掛けにも答えずにどんどん先に進んでしまっているようだ。
観察のズームを寄せて良く見れば、当のギレスラは強く目を瞑ったままで、歪になった口元には喰いしばる牙の間から泡状の物が見えているではないか。
これはアレだな、恐怖によって気絶寸前、そんな所だと思われる。
ん? ギレスラの頭の上、丁度中央の角の間に忙しそうに動き捲るテューポーンの姿が……
特徴的な額の尖角ではなく、竜種では一般的な鱗に順目で後頭部に向かって伸びる二本の角を、押したり引いたり上下左右に動かしてコントロールしている様にも見える。
その制御のせいで自分の動きを奪われているのだろう、ギレスラが後方からのレイブの声に答える。
『ガララァー! と、止めてくれぇー! ひ、ヒイィッ! ぶ、ぶつかるぅー! あわわわ! ガガガガァ!』
「待てってぇー!」
『止まるのよ、ギレスラお兄ちゃーん!』
『バッタに言ってくれぇー! ヒイィッ!』
「バッタ? ああ、バッタか! おーい、テューポーン止まれってぇ!」
『テューポーンさん、止まるのよー!』
『ギギギッ♪』
制止を求めるスリーマンセルの声にも、バッタのテューポーンは一切気に掛ける事無く益々速度を増して行く。
見事なライディングテクニックを見せるその背中には、『付いて来い、新しい景色を見せてやるぜ』的な自信が溢れている様にも見える。
こんな所でバラバラにはぐれてしまってはどうしようもない。
その思いだけで消極的で仕方なくライドンタイム、流れに乗って追いかけるしかないレイブとペトラであった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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