【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1342.ガト
変なニンゲンが訪ねて来た。
あの地獄が始まって以来、腐りゆく体を啄ばみに来るムカつく地虫と、遠景を優雅に飛び遊ぶムカつく鳥位しか生物を見て来なかった私自身が願った幻だろうか?
そんな風に警戒しながらも折角なので話し掛けたのである、出来得る限り友好的にだ。
『はじめましてガトとやら、私は偉大なる森の王、ダソス・ダロス…… お前が迷い込んだここは怨念と妄執が集う闇の領域、生ある者が立ち入って良い場所ではないぞ? 去るが良い…… もしも実体を持たぬ悪霊物の怪の類であれば私を思うざま喰らい尽くすが良い、生きる事には飽いていた所だ…… どちらでもない只の幻であれば今すぐ消え去ってくれ、見ての通りここには既に有り余るほど暮らしているからな…… ほれ、そこで踊っている紫のドングリが居るだろう? 彼女はシャーロット、可愛らしいだろ、おっと! 手前の石は噛み付くから注意だぞ! 彼の名はライアン、こう見えて小さな石全ての王様なんだ、むっ?』
私が丁寧に注意してやったと言うのに、ガトと名乗ったニンゲンっぽいやつは無言のままでこちらに歩みを進めてきた。
あろう事かライアン王を踏み付けながらであったが、幸い噛み付かれる事は無かった、運が良い。
そのまま私に近寄ったガトは、巨大な鼻先に小さな手で触れ、撫でる様にしながら体を預けてきた。
『な、何をっ?』
狼狽した声を上げた私の耳に彼女の声が心地良く響いた。
「良いの、アタシが一緒にいてあげる、もう一人じゃないのよ」
『え……』
見当違いで会話になっていない発言を返してばかりの、彼女の手は暖かかった。
その温もりは、私の中で分厚く積層された鬱憤や屈託を、少しづつ少しづつ洗い流してくれる光のように感じられたのである。
その日はそのまま直後に襲った激痛で意識を失い、いつも通り、翌日の『再生雨』で目を覚ました時、不思議な少女ガトの姿はどこにも見当たらなくなっていた。
『そうか、行ったか…… 昨日私の苦しむ様を見たのなら無理も無い…… それとも幻だったのかな? ニンゲンにしては可憐で美し過ぎたからな…… そうか、幻覚だったか……』
「あ、目が覚めたのね! この山って良いわね、木の実がいっぱい見つかったわよ、ほら♪」
『っ!』
夢と断じて気持ちを切り替え、十二編からなる長編曲、名付けて『甘美な死臭 ~夢の旅路は憧れの等活地獄 針で柔らかテンダーされて、俺はこんがりポークソテー~』の編曲作業でも始めようとした時、視線の先の藪からひょっこり姿を表したのは消えた筈のガトであった。
着古しに見えるチュニックの裾を持ち上げ、そこに沢山の木の実や果物を入れて、満面の笑顔で歩み寄ってきた。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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