【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1638.カーミラの昔語り
確か一仕事終えてご機嫌なサタンが、魔核に自分の魔力を込めて眷属にしようとしたタイミングで変な声を出した所だった筈だが…… 何が起こったのだろうか? 差し込みかな?
むむ? 魔核を差し込まれた獣の死体が眩しく輝いてどうやら姿を変えているらしい、魔力を流す前なのに妙だな。
サタンも驚いた様で、美しい聖母の表情を驚愕に歪めている、信徒にはとても見せられない顔である。
「あれ? 何でよ? まだ与えてないじゃないのっ、未よ未っ、未力よっ!」
御力って言葉があるからね、その言い方だと混乱を助長するかもよ?
そんな、当時は日本語では無かったので全くの老婆心を発揮していると光の中からサタンに話し掛ける声が聞こえる。
「お助け頂きありがとうございます! 我が君、バアル様!」
声の主は一匹の黒猫だ。
サタンは面くらいつつ答える。
「へ? バアル? ってアンタ誰よ?」
「至高の御方、私は、モラヴィアにおける貴方様の忠実なる使徒、その成れの果てでございます」
「へ、へー……」
その後、黒猫が語る昔話をサタンとヨハンは地下牢の床にお行儀良く並んで座って聞いた。
それによるとカーミラが人として活動していたのはこの時代より六百年ほど前の九世紀の事らしい。
当時ここら一帯を統治していたモラヴィア王国、所謂、大モラヴィアの后の一人、それが彼女の生前の姿だったと言う。
旦那様はかの有名なスヴァトプルク一世、あの「スロバキア人の王」、その人だそうだ、結構凄いぞ。
この偉大な稀代の英雄についてのお話しは割愛して構わないと思う。
興味があるオーディエンスの皆さんは、例によって伝記でもお読み頂ければ良いだろう。
カーミラに関係する話を掻い摘めば、大王である旦那さんがドナウ川で溺死した事、本妻の子供達が争い捲って国が弱体化した事、そこに付け込んで侵略して来たマジャール人=ハンガリー人だけは絶対に許せない、絶対っ! と、まあこれだけ抑えておけばこの観察で支障をきたす事は無いと思う。
スロバキアはその名の通りスラブ人の国だ、判り易い。
だがこの辺り、と言うか中央ヨーロッパでは至極当たり前に様々な種族が習合しそして混血によって
融合されていく。
その際に主だった習俗や衣装、生活様式や信仰をどの種族、いや種族は皆ホモサピエンスだから民族、若しくは部族のが正確なんだが、どこから継承しているか、そんなユルッとした判断だけで何人とか何族とか何系とか自称する訳なのだ。
そしてカーミラも又、スラブ人でスロバキア人、但し先祖はゲタイとスラブとスキタイが大目、ちょっとグレコローマンとトルコが混ざった、可愛らしく素朴な娘さんだった訳だ。
但し、死生観と宗教は家族が信じた土着の価値を捨ててはいなかった様だ。
これには紀元前に遡る民族の記憶が関係している。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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