【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1272.仕事の流儀
二つの空魔石を囲んでやる気に満ちている弟妹を横目にしながら、レイブは姿勢を正して正座に戻り小さな声で誰にも聞こえない呟きを洩らす。
「これでやっと元の仕事に戻れそうですね、さあ、いつでも空に戻しますからね♪ さて、魔石はまだかな?」
…………こいつらどっちも治っていないんじゃ?
私の懸念は例の如く、誰にも届く事無くスリーマンセルは各々が今出来る事に向きあい始めてしまうのであった。
ぺトラとギレスラはおさらいヨロシク、二つの魔石にそれぞれ自分の魔力を充填し始める所からやり直す様だ。
現実の過酷さから楽しい宇宙にトリップアウトしていたギレスラは兎も角、この間、碌な休息も取らずにスキルを行使しっぱなしのぺトラの魔力量には驚くしかないだろう。
ざっと数えただけで百回近いヒール系での充填を果たしているのである。
勿論、回復とその劣化版である鑑定では勝手が違うのだろうが、皆さんの時代に存在していれば稀有な衛生兵として珍重されたのではなかろうか? 猪だし。
観察に於いて底無しの魔力と言えば茶糖コユキが想起される。
ぺトラとコユキの共通点ならば言うまでもなくその巨体だが、それだけが両者の類似項ではないだろう。
大きいだけならば現在もかつての令和の時代にも幾らでも巨大な体躯を持つ者はいた訳だし、彼等が皆、他を凌駕する魔力や生命力を誇っていた訳でもないのだから、そんなに単純な話とは思えない。
となると、見た目が似通っているから? まさかね…… グフングフン、いづれにしても非常に興味深いことである。
と、私がほんの少し考えを巡らせている間にも、数回の魔力充填を終えた二頭は考察に入ったようだ。
『どうだ? やはりそっちの方が暖かいのか?』
『うん、魔石を交換してやり直してもアタシが充填した方がギレスラお兄ちゃんのより暖かいわ』
『そうか……』
ゴロン×2
言いながら転がされた二つの魔石は、瞬時に空にされて二頭の前に戻された。
念願の魔力吸収要員に返り咲いたレイブの手によってである。
静かな笑顔を湛えたままで、会話の邪魔にならない極自然な所作には、既に相応の年季までを感じさせる練度すら錯覚してしまう。
実験が行き詰っていたからか、その姿をふと目に留めたギレスラがレイブに話し掛ける。
『レイブ、グルグルやらなくて大丈夫なのか? ふっ、もやらないで石化したらどうするんだ? 魔力を回さないと駄目だろぅ』
「回していますので、ご心配なく」
『えっ、だが何もやっていないように見えたのだがぁ?』
重ねられたこの言葉に、レイブは顔を少しこちらに向け、笑顔を湛えたままで答えたが、その声には常にない力強さが込められている。
「端で見れば単純な仕事でしょう? でもね、やってみるとこれで中々奥が深いんですよ…… 全て同じに見える空魔石もね、一つ一つ出来栄えに違いが有るものでしてね、へへへ…… 思い通りの仕事が出来るなんて事は何度かに一回あれば良い方なんですよ? 毎回毎回、今度こそ、次こそは、ってね…… だから吸収した魔力なんか直ぐにどこかへ行っちまう! まあ、私は体中全てを魔力吸収に捧げていますんでね、へへへ、言って見ればこの仕事に打ち込む情熱で使っちまってるんでしょうね~、へへへへ」
力強くもどこか照れ臭そうに話すレイブ…… 一体なんのつもりなのだろうか……
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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