マイケル・ジャクソンに学ぶ身体操作16:3種類のダンス (考察編-1)
マイケル・ジャクソンは、一見、様々な種類のダンスをしているように見えます。しかし、体の使い方や体軸リズムの視点から公式ライブ映像を観てみると、大きく3つに分類できると考えています。
どのダンスにも共通する点は、体軸を立てて維持すること、そして深層筋をうまく使うことです。これらを踏まえて、それぞれのタイプを見ていきます。
1. 体軸リズム連動型
マイケルのダンスの多くは、体軸リズムに沿って動くタイプです。体軸の上下・左右・前後、さらには八の字のような回転の感覚を、音楽のビートに連動させることで、自然なダンスが生まれます。曲の流れにも自然と調和し、歌唱にも影響を与えません。そして、体軸の中心線を意識して、頭、鳩尾、踵を一本の線として感じながら動くため、動きに安定感と滑らかさが生まれます。
特徴:曲のリズムに合わせて体軸リズムを刻み、脚や腕の動きと連動させる
例:「Billie Jean」のステップやスピンなど
ライブ映像を観ると、ほとんどの振り付けがこの型に分類されます。マイケルにとって、体軸リズム連動型の動きは「基本中の基本」であり、無意識のうちに自然に行われているはずです。その理由は、体軸リズムとは、「意識して作る・刻むものではない」からです。音楽に身を委ねることで、体軸リズムが自然に感じられ、その中で余裕をもって動かせる範囲の動きが自然と現れる——それがこの型の特長です。
こうした理解は、スピンの仕組みを考えるうえでも土台になります。スピンも同じで、体軸リズムが自然に収束した結果として無意識の連動で回転が生まれるのです。次回以降では、この視点をもとにスピンの仕組みを見ていきます。
2. パントマイム型
次に、体軸リズムを抑えて動くタイプです。体の動きを視覚的な表現として最大限強調するため、自然に刻んでしまう体軸リズムをあえて抑えています。
特徴:体軸リズムへの意識をいったん切り離し、全ての動きを制御する
例:空気を押す動きや壁を押す仕草など、クラシックパントマイム的表現
体軸リズムが「パントマイム的な動き」とは連動しないため、全身の力を意識的に使い、深層筋をコントロールする必要があります。非常に負荷の高いパフォーマンスで、ライブ映像では「シューシュー」と呼気を吐く様子や、きつそうな表情が見受けられます。また、このダンスを行う際には歌唱が途絶えます。それでも、観る側には力強さや独特の浮遊感として映ります。
3. 中間型
最後は、体軸リズムを使ってもよいし、使わなくても成立するタイプです。つまり、体軸リズム型とパントマイム型の中間に位置する表現です。
特徴:足と骨盤・肩の斜め連動を使うことで、滑らかな後ろ歩きや視覚的錯覚を生む
例:ムーンウォーク、軽いスライド、浮遊感のあるステップ
体軸リズムを意識しなくても、足と肩・骨盤の連動だけでダンスが成立します。このタイプは視覚的な錯覚や滑らかさが際立ち、観客の目を引きます。そして、ライブ映像を見ると、パントマイム的な要素が色濃い場合、歌唱がやや途切れがちになります。
まとめ
この3種類の分類を念頭に置き、公式ライブ映像を見直してみてください。特に体軸リズム連動型は、マイケルの動きの基本であり、スピンのような高度な技術に直結しています。
下の動画では、15:15~「Human Nature」が始まります。第3回記事でも少し触れた中間型(15:24~15:30)とパントマイム型のダンスを探してみてください。
次回と次々回では、スピンの基本原理と、体軸リズムがスピンにどう作用しているかを解説していきます。ポイントは、「音に身を委ね、体軸リズムを身体で刻む」という感覚を実際に体で感じることです。この感覚をつかむことができれば、スピンだけでなく、マイケルのダンス全般の動きや表現の秘密も、より深く理解できるようになります。
読むだけでなく、実際に体でリズムを感じながら、マイケルの動きの背景にある体軸の連動やばねの感覚を体験してみる——そんな楽しみを、次回以降の記事で一緒に味わっていきましょう。
