連載「菌活ボーイがゆく」㉝別れの春
こうじの魅力にはまった猫サラリーミャンの菌活実践記です。
「育て上げた醤油こうじを食べてしまうのが心苦しくて」の心境で菌との触れ合いの日々を送る。
さっちー師匠ににゃんだかんだ巻き込まれながら“菌友”づくりに励む。
文/菌活ボーイ
イラスト/ちぐ

友人の転勤祝いに、醬油こうじの「菌次郎」を手渡した。
唐辛子をピリリと効かせた小麦色マッチョのナイスガイ。
ヤツは笑顔で親指を立てたまま、あっという間に姿を消した。
兄貴分の「菌太郎」と顔を見合わせ、ため息をついた。
それから時計を何度も見た。
旅立つ時刻がどんどん近づく。
ラジオは別れの曲ばかり流している。
卒業。失恋。桜の花びら。
春は、センチメンタルな歌が多い。
友人が、このまちに戻ってくることはもうない。
でも、醬油こうじの作り方は伝授した。
新天地で、きっと幸せに暮らすだろう。
菌次郎と菌太郎は、同じキジトラ産米こうじ。
離れていても、つながっている。
つながっていたい。
(続く)
