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猫にワクチン必要?

獣医師の水越です

今回はワクチンを中心に、「猫に予防が必要かどうか?」、「予防よりも必要なこと」について書きたいと思います


猫に混合ワクチンは必要か?

猫のワクチンで防ぐ感染症は 猫→猫 の感染経路に限られます

近くにいる感染猫にくしゃみをかけられたり、ケンカをして咬まれたり、食器の共有で唾液から感染したり、トイレを共有して便から感染します

よって、室内生活であれば、ほぼ感染することはありません

あるとすれば、何らかの理由で外に連れ出す、脱走した時くらいです(もう一つの可能性は後ほど)

室内生活で一頭だけなら、成猫になってからのワクチン追加接種は必要ありません

同居猫がいる場合も、その猫が感染していなければもちろん伝染されることはありません

この場合も成猫の追加接種は必要ないです


成猫の追加接種は必要ないですが、子猫の時の数回のワクチンは必要です

それはパルボウイルスから守るためです

パルボウイルスは主に便によって伝染するのですが、乾燥した便の中でウイルスが数ヶ月も生き残ることがあります

多くのウイルスは感染動物から排出されても、乾燥すればすぐに死んでしまいます

例えば、鼻水が乾いてしばらくするとその中にいるウイルスは死んでしまうので、古い鼻水によって伝染することはありません

でも、パルボウイルスを含む便は乾いてもウイルスが数ヶ月生き残るのでとても厄介です

保護猫カフェや譲渡会に行って猫を触る、その猫がパルボウイルスに感染していたら少量でも便が服について家に持ち込まれ、愛猫に感染するということがあります

なので、室内猫でもパルボウイルスにはかかってしまう可能性があります


3種ワクチンにはパルボウイルスを防ぐ成分が含まれています

子猫の時に正しいワクチンプログラムに沿って接種すれば、パルボウイルスのワクチン抗体価は10年以上持続することが分かっています

なので、室内生活であっても子猫のワクチンは必要ですが、1歳以降は必要ないのです


人間のインフルエンザを考えてみてください

まったく外に出ない一人暮らしの人がインフルエンザにかかることはありませんし、インフルエンザワクチンを接種する必要もありません

室内猫はそれに近い状況です

パルボだけは注意しておいた方が良いですが、飼い主が他の猫を触ることがないのであれば、子猫のワクチンも必要ないでしょう


結論 1

室内猫のワクチンは子猫の時は必要だけど、1歳以降は必要ない


ただし、外に出る、多頭飼育、保護猫の預りボランティア、その他不特定の猫と接触する可能性がある場合は1歳以降も3年に1回、3種混合ワクチンの追加接種をお勧めします

全ての年齢、全ての環境でワクチンが必要ないのではないです


ノミ・マダニ、フィラリア予防について


ノミ・マダニ予防も室内猫には必要ありません

庭やベランダに野良猫が近寄る、飼主様が地域猫のお世話をしていたり、アウトドアが趣味でマダニを服につけて帰るなど、状況によっては予防を検討すべきですが、多くの場合は必要ありません


フィラリア予防は外に出る猫でも必要ないと考えています

犬も猫も人も免疫の働きは違います

犬はフィラリアにかかりやすいですが、猫や人はかかりにくいです(まれにかかることはあります)

猫エイズは人にかからないし、人のエイズは猫にかかりません 猫エイズは猫の病気、人のエイズは人の病気です

フィラリアは犬の病気です

フィラリア予防はフィラリアにかかっていないことを確認して実施しなければなりません

万が一かかっていたら、予防薬投与によって副作用が起こりやすいし、予防ではなく治療を行う必要があるからです

猫は犬と違って簡単にフィラリアの感染を調べることは出来ません

犬は毎春フィラリア検査を実施しますが、猫のフィラリア予防をする場合、正しい方法でフィラリア検査を実施されることはほとんどありません

その理由は検査が犬と比べて手間や時間がかかること、感染の可能性が極めて低いから感染していないという前提で予防を始めるからです

それなら予防しなくて良いはずです

ごく稀にしかかからない病気の予防まで実施していたらキリがないですし、予防医療にも副作用はあるし、費用負担、来院する負担などもあります

猫のフィラリア予防はメリットよりもデメリットの方が大きいです



結論 2

ノミ・マダニは室内猫なら必要ない

フィラリア予防は全ての猫に必要ない



予防よりも必要なこと


ワクチン、ノミ・マダニ、フィラリア予防などの予防医療は本当に必要かどうかを考えて、その判断のために正しい情報を集める必要があります

猫の場合、予防よりも健康診断の方がよっぽど意味があります

現在の生活環境において、飼い猫が感染症にかかるのは家に迎える前です

家に来てから感染することは多くないです

家猫でも猫カゼによって鼻水、くしゃみ、目ヤニなどの症状で苦しむことがあります

原因の多くはヘルペスウイルスです

ヘルペスウイルスは感染した猫と上手く共存し、症状を出さずに身体の中に潜んで何年も生きます(潜伏感染)

家に迎える前に感染したヘルペスウイルスは、家に来てから猫の免疫力が低下した時に増殖して発病します

家に来る前に感染したウイルスなので、家に来てからワクチン接種をしても予防はできません

一度感染したヘルペスウイルスは身体から排除出来ません


家に来てから発症する病気は感染症よりも、尿路結石、慢性腎臓病、悪性腫瘍(ガン)など、非感染性の疾患が多いです

それらを早期発見、早期治療するには健康診断が必須です

予防のために費やしていた費用と通院で負担をかけるよりも、定期的な健康診断を習慣にしていだければと思います


結論

・予防の必要性は生活環境から判断する
・室内生活の場合、子猫の時のワクチン接種以外は予防の必要性は低い
・予防よりも健康診断の方が健康に長生きするためには有用


決してワクチンや予防医療を全否定している訳ではありません

生活環境を考慮せずに、毎年同じようにワクチンやその他の予防を続けることに対する警鐘を鳴らすことを目的に書きました

考え直していただく機会なれば幸いです

それと健康診断の重要性の訴求が目的です



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詳しくは下のリンクをご覧ください


今回は以上です


獣医師 水越健之 の自己紹介の記事です



その①
少年時代から獣医師になるまでの生い立ちを綴りました


その②
大学卒業からの獣医師としてのキャリア


その③
自己紹介(パーソナリティ) 












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