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中医学の全体象と体質チェック

獣医師の水越です

中医学(東洋医学とほぼ同じ意味)が西洋医学と違うところは、漢方や薬膳を用いることだけではありません

身体の働き(生理学)、病気になるメカニズムなどの基礎的な考え方も違います

なので、そこから勉強しなければ、漢方を処方することはできません

「風邪をひいたら葛根湯」というような簡単なことではないのです

風邪と葛根湯を例に中医学の考え方を説明します

風邪など、外部から侵入する病原体などを外邪といいます

外邪は体の表面(主に皮膚)から侵入すると考えます

それを侵入させないように身体の内から外に向けて追い払う力が働きます(発汗もその作用)

その外向きの働きは主に肺が担うのですが、肝、脾、腎の力を借りて行います

葛根湯には麻黄、桂皮、芍薬、甘草、葛根、大棗、生姜 という6種類の生薬が含まれています

それぞれの生薬にも特性や薬効があります

外邪を外に追い払う働きは麻黄と葛根が担います

その他の生薬は気血津液の働きを整え、麻黄と葛根の働きを助けます

ちなみに、葛根湯は風邪の初期(外邪が身体に入る前、体表で戦っている時)に飲むと効果的です

寒気があるけど汗が出ない時(頭痛や肩から首の強張りを伴うこともあり)に服用すると効果的です

生薬の調剤の様子

このように、漢方薬を理解するためには、生薬についての知識が必要です

生薬の特性や薬効、病気のメカニズムを理解するには、気・血・津液、五臓六腑 などの基礎理論が頭に入っていることが前提です

体調や病状を把握するためには、基礎理論に加えて、診断学や発病のメカニズム(これらも西洋医学と考え方が全く違います)も分かっていないと出来ません

医師や獣医師はこれらを網羅しなければ診察と処方ができませんが、飼い主様が自宅で愛犬愛猫の健康管理を行うためであれば、体質チェックのやり方それぞれの体質の特徴、それを理解するための中医学の基礎理論のポイントを押さえておけばいいと思います

なので、それらについて、わかりやすく書いていきます


まず、中医学では身体のバランスを整えることを重要視します

普段の健康管理では、冷えやすい体質とか、お腹が弱い体質とか、浮腫みやすい体質とか、身体の特徴、傾向を把握し、よりバランスの良い状態に戻すことを目指します

冷えやすければ、生活環境の温度管理、身体の保温、身体を温める効果のある食材を食べる、同様の漢方薬を処方するなど

よって、まずは愛犬愛猫の体質を知る必要があります

では、愛犬愛猫ちゃんの体質チェックをやってみましょう

下のリンクで診断してみてください


どうでしたか?

体質は8つに分けて考えます

それぞれの特徴を簡単にまとめます(体質名が診断サイトと下記の説明では異なるものがありますが、呼び名が違うだけで内容は同じです)

①脾気虚:胃腸が弱く疲れやすい体質
(お腹)が弱いため、食物からの栄養を十分に取り込むことができません
そのため、生命エネルギーえあるが不足気味になります
お腹が弱く下痢をしやすい、食欲にムラがある、疲れやすい、風邪をひきやすいなどの症状が特徴です
食べ過ぎや冷たい飲食を避けることが大切です

②腎陽虚:熱不足で冷えが強い体質
に蓄えられている熱源(腎陽)が不足しています
腎には津液(体に必要な水分)の元となる腎陰を温めて巡らせる働きがありますが、熱不足のため温めることが不十分です
そのため、津液の巡りが悪く、むくみの原因となります
寒さに弱く、①脾気虚に見られる症状も伴います
身体を冷やさないように注意し、十分な休息をとることが大切です

③血虚:血が不足した体質
全身をめぐり臓器に栄養を届けるのがであり、血虚はその血が不足した状態です
血が行き届かない臓器が栄養不足となって十分に働かず、皮膚の乾燥や筋肉の疲れ・引きつり、手足の痺れや冷えなどを起こしやすいです
心の栄養不足によって、不安感や不眠になることもあります
ニンジン、ホウレンソウ、ヒジキ、鶏レバーなど食材を摂ること、十分な睡眠を心がけることが大切です

④陰虚:津液不足で乾燥気味の体質
とは身体を潤す津液のことであり、陰虚とは津液不足の状態です
水分不足になると熱を抑えられなくなり、相対的に熱が強くなるため、皮膚や被毛が乾燥気味になったり、平熱なのに熱っぽくなります
過剰な運動や睡眠不足、ストレスなどは津液を消耗し、陰虚の原因となります
疲れすぎないようにして、夜は十分な睡眠をとることが大切です

⑤気滞:気の滞りでイライラしがちな体質
気の巡りが滞っている状態です
気の全体の量に異常がなくても、部分的に気が過剰に集まっているため、それ以外の場所では気が少なくなります
気が余った状態と不足の状態が同居しているため、元気なようで疲れやすい、顔は熱っぽいけど足先は冷たいなどの症状があります
ゲップやオナラも多くなりがちです
原因はストレスなので、リラックスすること、気分転換が重要です

⑥湿熱:余分な津液と熱がこもった体質
過剰に溜まった津液が病的な熱と結びついて、ドロドロとした状態です
暑がりで、パンティングしやすく、体格ががっしりしているといった特徴があります
ドロドロしたものが熱を帯びてとどまるので、かゆみや腫れ、湿疹、化膿などを引き起こします
脂質の多い食事やおやつ、食べ過ぎなどに注意しましょう

⑦血瘀:皮膚が黒っぽくシミができやすい、血が滞った体質
血の巡りが滞った状態です
血が滞ると皮膚が黒っぽく、ツヤがなくて、シミができやすくなります
血の巡りが悪いと冷えやすい他、肩こりや頭痛も現れます
主な原因は血の巡りを先導する気の不足や気の巡りの悪さなので、①脾気虚と⑤気滞の特徴をチェックし、対策する必要があります
特に気の巡りを改善するために、ストレスの解消が有効です

⑧痰湿:津液が過剰な水太り体質
津液が過剰に溜まると湿、さらに固まって動きが悪くなるとになります
この湿や痰が体内に溜まった状態が痰湿です
身体中に水袋を抱えたような状態なので、気温に左右されやすく、寒がりで暑がりの傾向があります
水太りの場合が多く、色白で疲れやすい特徴もあります
水分の摂りすぎに注意し、適度な運動を取り入れることが効果的です

水越のん は 陰虚体質


なるべく、専門用語を避けて、分かりやすく書きましたが、基礎理論を理解しておいた方が体質についての理解が深まると思います

肝・心・脾・肺・腎 が何度か出てきましたが、現代医学の肝臓、心臓、脾臓、肺、腎臓 とは共通点もありますが、異なる概念です(次回、詳しく説明します)

気・血・津液 についてももう一歩踏み込んで理解していただきたいです

なので、次回は中医学の基礎理論をできるだけ分かりやすく解説しようと思います


4-5月ごろに「中医学的な体質チェックと対策」についてのオンライセミナーを開催する予定です

詳細はInstagramでお知らせしますので、フォローをお願いします

https://www.instagram.com/mimosa.animalhospital



参考図書

中医学について、もっと勉強したい方におすすめの書籍です



獣医師 水越健之 の自己紹介の記事です

その①
少年時代から獣医師になるまでの生い立ちを綴りました


その②
いわゆる、自己紹介の記事です 



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