JW14 さらば、皇子原
【神武東征編】エピソード14 さらば、皇子原
ここは、高千穂国。

紀元前697年、のちに、初代天皇、神武天皇となる、狭野尊(以下、サノ)は、日嗣(跡継ぎのこと)となった。
そして、吾平津媛と婚姻を結ぶ為、移住することになったのであったが・・・。


ここは、皇子原。
二千年後の皇子原神社(宮崎県高原町蒲牟田)。






「サノ」の元に、兄たちが訪れていた。
イツセ「サノ? 忘れ物は、ないか?」
サノ「兄上? 我は、もう『十五』にござりまするぞ? 幼児のような扱いは、止めてくださりませ。」
ミケ「ところで、何処に移り住むんや?」
稲飯「何言うちょるんや! 父上の坐す、『鵜戸の宮』(今の鵜戸神宮)に決まっちょろうが!」
ミケ「こ・・・これは、読者の為やかい・・・。」

サノ「されど、兄上たちと離れるのは、淋しうござりまする。」
イツセ「仕方ないっちゃ。じゃっどん、此度は、我らも、付いて行くじ。」
サノ「えっ?」
稲飯「鵜戸に向かう間にも、いろいろと伝承が有るんや。解説には、合いの手が要るやろ?」
サノ「な・・・なるほど。」
イツセ「それに、吾平津媛と逢った(結婚した)あとは、宴楽(この場合、披露宴)が有るんや。そこに、親族が居らんかったら、おかしいやろ?」
サノ「た・・・たしかに。」
なにはともあれ、一行は、出発したのであるが・・・。
ミケ「おい。サノ?」
サノ「何ですか? ミケ兄?」
ミケ「なして、馬の『龍石』に乗らんのや?」
サノ「故郷を『踏みしめたい』ゆえ・・・。」
稲飯「それだけや、ないやろ?」
サノ「は?」
稲飯「興世姫の姿を探しちょるんは、『見え見え』っちゃが。」
サノ「なっ!」
イツセ「父上から、妾にして良いと、許しを貰っちょるんや。ここで、会えんでも、障りないやろ?」
サノ「そ・・・それは、そうなのですが・・・。」
ミケ「ところで、我らが歩んじょる道は、都街道やじ。」
イツセ「いきなり、何ね?」
ミケ「皇子原と『宮の宇都』を繋ぐ道のことっちゃ。『ひむか神話街道』とも呼ばれちょるじ。」

サノ「さ・・・左様ですか。」
稲飯「都街道を示す、案内板も有るみたいやな?」
ミケ「流石は、兄者! その通りっちゃ。」




イツセ「ということで『宮の宇都』が見えてきたじ。」
サノ「これで、見納めなのですな・・・。」
イツセ「何言うちょるんや。いつでも、遊びに来い。」
サノ「ぎょ・・・御意。」
そして、さらに進んで・・・。
ミケ「ということで、川を渡るじ。」
稲飯「この川は、高崎川っちゃ。」
イツセ「此度の旅で、初めて、渡った川・・・ということで、狭野渡という地名が生まれたじ。」
稲飯「こちらも、案内板が有るじ。」




無事に川を渡り、さらに進んでいくと・・・。
サノ「ん? あれは?」
ミケ「どうしたんや?」
サノ「あそこに、多くの人々が・・・。」
稲飯「あれは、皇子原の民たちや!」
地元民「皇子ぉぉ!」×多数
サノ「皆、我の為に・・・。」
地元民(い)「鵜戸に向かわれると聞いて、見送ろうと考え、お出迎えに上がった次第。」
地元民(ろ)「行ける処まで、お見送りして、良かですか?」
サノ「いっちゃが。我は、嬉しいぞ。」
歓声を上げる群集の中から、塩土老翁(以下、ジイ)が、興世姫を連れて現れた。
ジイ「姫ですぞ。」
興世「皇子!」
サノ「おお! 興世!」
どうなることやら・・・。
次回に、つづく。
