JW988 深い霧と雷と
【東征冒険編】エピソード63 深い霧と雷と
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦111年、皇紀771年(景行天皇41)。
東征をつづける、日本武尊(以下、タケル)一行は、足柄峠を越え、山を下ろうとしていたのであったが・・・。





わかたけ「ふ・・・深い霧で、全く、前が見えませぬぞ。」
ダータケ「これでは、迷ってしまいまするぞ?」
タケル(30)「むむむ・・・。」
するとそこに、大雷命(以下、オーイ)が現れた。
オーイ「我は、伊弉冉神が、黄泉国にて生み出した、雷の神であるぞ!」
タケル(30)「か・・・雷の神が、なにゆえ、このような処に?」
オーイ「霧を払いのけ、汝らを助けようと思ってな・・・。」
タケル(30)「おお! ありがたや!」
オーイ「では、見ておれっ。とぉう!」
わかたけ「あっ! 霧が・・・晴れていく・・・。」
ダータケ「す・・・すごい。」
オーイ「そうじゃ! すごいのじゃ! ということで・・・。」
タケル(30)「祀りまするぞ。」
オーイ「よろしく頼むぞ!」
こうして「オーイ」は、消えていった。
押根「こうして、建てられたのが、二岡神社にござりまする。鎮座地は、静岡県御殿場市の東田中にござりまするぞ。」







ダータケ「祭神は『オーイ』様じゃな?」
押根「はい。しかし、それだけではありませぬぞ。」
ダータケ「えっ?」
押根「木花開耶姫を始め、夫である、瓊瓊杵尊や、天照大神、天忍穂耳尊、そして、『オーイ』様の母君、伊弉冉神も祀られておりまする。」

バヤジト「また、伝承によりますと、二岡に、木花開耶姫。四岡に、瓊々杵尊の社を建てたのが、始まりとも伝わっておりまする。」
タケル(30)「ん? 四岡は、何処になるのだ?」
バヤジト「ロマンにござりまする。」
わかたけ「おお! ロマン!」
タケル(30)「そうか・・・。」
バヤジト「なお、二岡神社は、映画『七人の侍』のロケ地としても、知られておりまする。」

タケル(30)「ええがしちにの? ろけち?」
バヤジト「読者には、伝わったようですぞ。」
タケル(30)「そ・・・そうか・・・。」
とにもかくにも、一行は、進軍をつづけ・・・。
タケル(30)「ついに、甲斐国に入ったぞ!」
わかたけ「二千年後の山梨県ですな?」
タケル(30)「そうだ。」
するとそこに「甲斐の国造」の「甲斐の君の塩海」(以下、塩)がやってきた。
塩「お初にお目にかかりまする。『塩海の足尼』にござりまする。」
タケル(30)「国造となる前は、足尼であったと?」
塩「御意。」
わかたけ「たしか、足尼というのは、大王を護る務めにござりましたな?」
タケル(30)「そうだ。宿禰とも書かれるぞ。」
塩「御意。して、こちらに控えしは、我が息子、『速彦の宿禰』にござりまする。」
速彦「お初にお目にかかるでごいす。お待ちしておりましたぞ。」
タケル(30)「そうか・・・。痛み入る。」
塩「ということで、我らが案内致しまする。」
タケル(30)「うむ。ところで、富士の山の眺めが、素晴らしいな・・・。」

塩「はい。この辺りは、草山と呼ばれ、高い木が有りませぬので、よく見えまする。」
タケル(30)「うむ。では、ここから、富士の山を拝もうぞ!」
速彦「こうして、皇子が拝んだ丘は、大塚丘と呼ばれるようになったんさよぉ。」
塩「二千年後の山梨県富士吉田市の上吉田ですぞ。」






速彦「して、邑人たちは、ここに、社を建てることにしたんでござんす。」
どうなることやら・・・。
次回につづく
