JW12 阿多から吾田へ
【神武東征編】エピソード12 阿多から吾田へ
ここは、高千穂国。

紀元前711年、一人の男の子が産まれた。
のちに、初代天皇、神武天皇となる、狭野尊(以下、サノ)である。
そして、14年の歳月が流れ、紀元前697年となった。
ここは、「鵜戸の宮」(今の鵜戸神宮)。







「ウーガ」は、襲国(今の鹿児島県)を治める、天曽利を呼び寄せていた。


ウーガ「よくぞ、お出でくださった。」
天曽利「そげん、畏まった物言いは、止めてくいやんせ。『おい』は、高千穂に仕える身にごわんど?」
ウーガ「じゃっどん、我と汝は、従兄弟の間柄・・・。家臣のように扱うんは、気が引けるんや。」
天曽利「そいでも、互いの父が交わした約束は、守らねばなりもはん。そいに、王(君主)らしか物言いをせんと、他の者に、示しが、つかんでごわす。」
ウーガ「分かったっちゃ。じゃっどん、我と汝は、不思議な間柄やな。」
天曽利「ん?」
ウーガ「もしも、汝の父、火闌降こと『ウーミン』殿が、我の父、『ヤマピー』に勝っちょったら、立場は、逆様になっちょるんや・・・。」
天曽利「約束は、約束。定めは、定めにごわす。」
ウーガ「そうやなぁ。」
天曽利「ところで、此度、『おい』は、名前を改めることに、しもした。」
ウーガ「名前?」
天曽利「こいからは、『吾田の小橋』と名乗りもす。小橋と呼んでくいやんせ。」
ウーガ「薩摩半島の阿多郡から採った名前やな?」
小橋「御意。」

ウーガ「阿多の地は、貝輪の『商い』が盛んな地。珍しい貝が獲れるとか?」
小橋「御意。沖縄などで獲れる、『ゴホウラ』や『イモガイ』といった、大きな貝で作る腕輪は、様々な豪族から、求められちょりもす。」


ウーガ「そうか・・・。では、高千穂にも、祝の品として、貝輪を贈ってくんない。」
小橋「祝の品?」
ウーガ「此度、日嗣を定めることにしたんや。」
小橋「跡継ぎを定めると?」
ウーガ「じゃが。その祝の品に、女も付けて欲しいんやが・・・。」
小橋「は? 我が王? 民の娘は、品物ではありもはん。そげん物言いをする御方じゃったとは・・・。」
ウーガ「何言うちょるんや。民の娘とは、言うちょらん。汝の妹御のことや。」
小橋「妹?」
ウーガ「汝には、歳の離れた妹が、居るやろ?」
小橋「吾平津のことでごわすか?」
ウーガ「じゃが。吾平津媛を、日嗣の妃に迎えたいんや。」

小橋「嬉しか話ですが、条件が有りもす。」
ウーガ「ん?」
小橋「高千穂の吾田の地には、油津という港が有るとか?」

ウーガ「うむ。それが、どうしたんや?」
小橋「その地を、『おい』たち、襲国の者に委ねてくいやんせ。」
ウーガ「なっ!? 彼の港を?」
小橋「はい。近頃の説では、吾平津の出身地は、薩摩の阿多郡と言われちょりもすが、昔は、吾田の地と言われちょりもした。その辻褄を合わせる為、条件を飲んで貰いもす。」
ウーガ「わ・・・分かったっちゃ。」
こうして、話は纏まり、「ウーガ」は、皇子原の「サノ」の元に向かった。






ウーガ「『サノ』よ・・・。汝に伝えたいことが有るっちゃ。」
サノ「父上? 如何なされました?」
ウーガ「汝を日嗣とする。」
サノ「は? 我が・・・日嗣?」
一体、どうなるのか?
次回につづく
