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noriaki_wada
ラブカ奇譚【毎週ショートショートnote】
「愚かな坂東武者どもよ。我が水軍に挑むとは」
寿永四年。一ノ谷の大敗で退いたものの、平氏には瀬戸内を拠点とした水軍がある。壇ノ浦で形成逆転を狙っていた。
「源氏の先鋒は誰か?」
「それが義経めのようでございます」
「気でも狂ったか?大将自ら先鋒とは」
関門海峡は潮の変化が激しい。
瀬戸内を熟知している平氏の水軍は優位に戦を進め、義経をあと一歩まで追い詰めたときだった。
「水手を射るとは何事かっ!」
非戦闘員である漕ぎ手を射ることは禁じ手である。それをあえて命じたのが義経だった。
「卑怯者めっ!」
やがて潮の流れが反転した。まさに潮目が変わったのである。義経は猛攻撃を仕掛け平氏の水軍は壊乱した。もう、後がないと悟った平氏は皆、入水して海の藻屑と消えた。
関門海峡は潮の変化が激しい。
平氏の肉体は深海魚のラブカの餌食となり、怨念もラブカへと乗り移った。
「源氏、許すまじ」
凝縮された怨念は後に形となって現れ、ラブカは第二形態に変化していた。
(410文字)
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