「天の川って、なんだか昆布みたいですよね」【せりふ三題噺】
はらとけいさんの企画に参加します。
毎週ありがとうございます。
■セリフ
「受付で待ってますね」
■三題
・宇宙
・カレンダー
・昆布
出会いは最悪だった。
入院中、座薬を看護師に入れてもらっているところをアヤカに見られてしまったのだ。アヤカは隣のベッドにいるじいさんのお見舞いに来ていたのだが、間違えて僕のベッドのカーテンを開けてしまったらしい。
翌日、彼女はお詫びを兼ねて昆布のおやつを持ってきてくれた。実家で販売している人気のおやつシリーズなのだそうだ。天然なアヤカと話しているうちに、入院生活も悪くないなと思うようになっていた。
ふとカレンダーを見ると、今日の日付に赤い丸印がついていた。ペルセウス座流星群が活動のピークを迎えるとのことで、病院の屋上で天体観測会が行われるのだ。
「わたしも参加できますかね?」
「できると思いますよ。興味があるんですか?」
「はい。宇宙って不思議だと思いませんか?」
「そうですね」
「天の川って、なんだか昆布みたいですよね」
「えっ?まあ、形は似てる…かな?」
何でも昆布に例えてしまうアヤカの方がよっぽど不思議だよ、と思ったがもちろん口には出さなかった。巡回に来た看護師に聞いてみると、アヤカも参加して構わないとのことだった。
「あの、一緒に見に行きませんか?」
「いいですよ。ここで寝てても退屈だし」
「よかった。一度家に帰ってから、また来ます」
「受付で待ってますね」
そのあと、シャワーを浴びて夕飯を食べたら天体観測の時間になっていた。受付でアヤカを待っていたが、いつまで経っても来る気配がない。
しばらくして、隣のベッドのじいさんが車椅子で近づいて来た。
「アヤカさん、遅いですね」
「はい?誰のことや?」
「お孫さんの、アヤカさんですよ」
「孫?アヤカ?そんなもん、おらんよ」
「だって、昆布のおやつを持ってきてくれたじゃないですか」
「そういえば、あんた、高熱でうなされていたな」
(おわり)
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