トリック・オア・トリート!【せりふ三題噺】
はらとけいさんの企画に参加します。
毎週ありがとうございます。
今週のお題は下記の通りです。
■セリフ
「トリック・オア・トリート!」
■三題
・キャンディ
・暗闇
・魔女
さっきから、ずっと、つけられている。この先の公園に入って、暗闇に紛れてまいてしまおう。チクショウ、あの魔女にさえ、出会わなければ…
………
「先生の明日の予定ですが、9時に大祭のご挨拶、10時に協会のご挨拶、12時に大先生とランチミーティング、15時から党の勉強会、18時から組合の懇親会です」
「わかった」
「キャンディの件はいかがしますか?」
「黙認しよう」
「いいんですか?」
「あそこの組長には借りがあるからな」
「それでは失礼します」
「お疲れさま」
政治の世界は腹黒くなくては生きていけない。そして、実弾はあればあるほどいい。王木は一日の疲れを癒すために、ホテルのバーへと向かった。とにかく、濃い酒が飲みたかった。
バーでウイスキーをロックで飲んでいると、女性から声をかけられた。
「隣の席、空いてますか?」
「ええ、どうぞ」
露出が高い胸元に目線がいってしまったことを悟られないように、落ち着いて伝えた。
「よかった、席が空いてて」
「結婚式の帰りですか。そのお、ドレスがとてもお似合いですので」
「ええ、友人の結婚式だったんです。今日はこのホテルに泊まるんです」
「そうでしたか」
「キャンディってなんですか?先生っ」
「…(なんだ突然。何者だ、この女?)」
「さっきぃ、秘書の方とお話してましたよねぇ」
「のど飴です」
「のど飴?」
「政治家は声が命ですから」
「トリック・オア・トリート!」
「なんですか?」
「のど飴、ちょうだぁい」
「いまは、持ってないです」
「のど飴くれないとぉ、イタズラしちゃうぞぉ。うふっ」
「なんなんですか?」
「イ・タ・ズ・ラ、して欲しい?」
女性はコースターにルームナンバーをメモして去ってしまった。
………
「王木さん、文秋です。先月、女性と一緒にホテルにいましたよね。詳しいお話を伺わせて頂けませんか?」
(おわり)
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