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台湾素食

皿の上。

 

色とりどりの料理の中に、

ひとつだけ目を引くもの。

 

茶色い塊。

 

 

福原が箸を止める。

 

「それ肉じゃないの?」

 

少し疑うように。

 

 

百合子もそれを見る。

 

一瞬考えてから、

 

「これ多分、大豆ミート」

 

あっさりと答える。

 

 

そして、

一枚つまんで、

福原の皿に乗せる。

 

「食べてみて」

 

 

福原は少し構えながらも、

口に入れる。

 

 

一口。

 

 

「…あ、美味い」

 

思わず声が出る。

 

 

しっかり味が染みている。

 

味は濃く、

湯葉を厚くしたような。

 

 

噛んでみる。

 

肉っぽさはない。

 

でも、

どこか食べ応えはある。

 

 

「なんか…油揚げみたいな感じですね」

 

 

百合子は頷く。

 

「そうそう、そんな感じ」

 

 

肉じゃないのに、

ちゃんと満足感がある。

 

 

福原はもう一口食べながら思う。

 

——これで十分じゃないか

 

 

“肉がないと物足りない”という感覚が、

少しだけ揺らぐ。

 

 

百合子は気にせず、

他の料理も食べている。

 

 

野菜も、

豆も、

揚げ物も、

全部自然に混ざっている。

 

 

福原は皿を見ながら、

少し笑う。

 

 

——なんか、ちゃんとした食事してるな

 

 

観光で食べる派手な料理とは違う、

落ち着いた満足感。

 

 

その感覚が、

少しずつ身体に馴染んできていた。


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