1年以上、AIにしゃべって記事を書いてきた。でも、肝心なことを伝えていなかった
タイピングが苦手だ。
考えていることはある。 伝えたいこともある。
でも画面の前に座ると、止まる。
1年ちょっと前、音声入力を使い始めた。 AIエージェントが騒がれ始めて、Notion AIを触っていた頃だった。
しゃべれば出る。 出したものを、AIがある程度まとめてくれる。
それだけのことが、ありがたかった。
去年から、noteの記事はずっとこのやり方で書いている。
しゃべって、こちらの意図を伝える。 AIがそれをもとに考える。 返ってきたものを、こちらで直す。
タイピングするのは、細かいところだけだ。
だから、音声入力には慣れているつもりだった。
でも先日、AI仙人というYouTubeチャンネルの「AI使うの上手い人はこの方法で音声入力している」という動画を見て、手が止まった。
振り返ると、いつも言っていたのはこれだけだった。
「この話をまとめてnote記事にして」
目的も、背景も、どんな形でほしいのかも、伝えていなかった。
コンセプトがはっきりしているときは、細かく言えていた。 でも、まとまっていないときほど、丸投げになっていた。
一番助けてほしいときに、一番渡していなかった。
速さのために使い始めた。でも、価値はそこじゃなかった
音声入力は速い。
打つより速いし、思いついたことを忘れる前に渡せる。
最初はそれが目当てだった。
でも、続けているうちに別のものが見えてきた。
まだ整理できていない考え。 言葉になりきっていない感覚。
そういうものが、しゃべると外に出る。
出したものをAIが返してくる。 それを見て「そこじゃない」「それに近い」「本当に言いたかったのはこれだ」と直していく。
その往復のなかで、自分が何を考えていたのかが分かる。
音声入力は、時短の道具じゃなかった。 考えを掘り出すための道具だった。
最初は雑でいい。でも「丸投げ」とは違う
きれいなプロンプトを作ってから話す必要はない。
このくらいで動く。
自然栽培を知らないお母さん向けに、食の安全について記事を書きたい。まだ考えがまとまっていないので、先に質問してほしい。
文章としては完成していない。
でも「何をしたいか」「誰に届けたいか」「今どこで詰まっているか」は入っている。 AIはここから質問を返してくれる。
一方で「この話をまとめて記事にして」だけだと、どこかで読んだような文章が出てくる。
ずっと、こちらがやっていたほうだ。
雑に話すのは、材料を不完全なまま渡すこと。 丸投げは、材料も判断基準も渡さないこと。
似ているようで、まるで違う。
伝えていなかった4つのこと
動画の中身は、NotebookLMに読み込ませてまとめてもらった。
そこで挙がっていた4つを、自分のやり方に当てはめてみる。
見事に、全部抜けていた。
1. 目的
何を作りたいか、だけでなく、そのあとどう使うのか。
noteで公開して、音声入力を使ったことがない人に試してもらいたい。
用途が分かると、長さも構成も言葉の深さも変わってくる。
「朝1分で読めるように」なのか「YouTubeの台本にする」なのかで、出てくるものは別物になる。
2. インプット
何を材料にするのか。
自分の体験、過去の記事、文字起こし、参考資料。
この文字起こしと、実際に音声入力を使ってきた感想を材料にしてほしい。
AIは、こちらの畑のことを知らない。
20年やってきた自然栽培の話も、渡さなければ存在しないのと同じ。 一般論しか返ってこないのは、材料を渡していないからだった。
3. アウトプットの型
どんな形でほしいのか。
2,500字くらいのnote記事にして、見出しを5つ前後入れてほしい。
形式だけじゃなく、「最初に体験談を置く」「最後にテンプレートを付ける」といった並び順も指定できる。
4. 制約
何を守ってほしいのか。
AIを初めて使う人向けに、専門用語を減らしてほしい。資料にない体験を、こちらの体験として書かないでほしい。
制約は縛りじゃない。
迷う範囲を狭めてくれる、畦(あぜ)のようなものだった。
答えをもらうより、質問してもらう
考えがまとまらないときは、結論を出させないほうがいい。
質問役になってもらう。
このテーマで記事を書きたい。経験や考えを引き出す質問を、一度に一つずつしてほしい。5問聞いたあとで構成案を作ってほしい。
「一度に一つ」がコツだった。
まとめて10個並ぶと、答える気力がなくなる。
選択肢を出してもらう手もある。
切り口を3つ出して、それぞれの良い点と気をつける点を教えてほしい。
決められなければ、判断の軸を足す。
「自分の経験が生きるのはどれか」 「読んだ人がすぐ試せるのはどれか」
壁打ちの良さは、AIが正解を出してくれることじゃない。
返ってきた言葉に対して、自分がどう感じるか。 そこで、自分の考えがはっきりする。
直すときは「変えない部分」を先に言う
AIは、頼んでいないところまで直してくることがある。
だから、変える範囲を区切る。
構成と体験談はそのままで、冒頭だけ読みやすくしてほしい。
やさしい表現は残して、重複している説明だけ削ってほしい。
見出しは変えずに、各節に具体例を一つずつ足してほしい。
「ここを直して」だけでは足りない。 「ここは触らないで」まで言う。
書き始めた方向が違うと感じたら、最後まで待たなくていい。
少し専門的すぎる。内容はそのままで、初めてAIを使う人にも分かる言葉でやり直してほしい。
一発で完璧を狙うより、小さく直しながら近づけるほうが早い。
気をつけていること
個人情報は置き換える
人名、住所、電話番号、健康のこと、他人との会話。
そのまま話さず、「Aさん」「取引先B」に置き換える。 会話を録音して渡すなら、相手の了解がいる。
誤変換は、思ったより減った
始めた頃は、直す手間があった。
でも今は、多少ずれても、前後から意を汲んで整えてくれる。
音声認識そのものが進んだのか、AI側が補っているのかは分からない。 とにかく、部分的に直すだけで済むようになった。
それでも、固有名詞と数字だけは目で確認する。
自然な文章と、正しい文章は違う
読みやすく整っていても、中身が合っているとは限らない。
数字や制度の話は、元の資料に戻って確かめる。
「分からないところは推測せず、確認が必要だと書いてほしい」と先に頼んでおくと、そこで止まってくれる。
長い会話は、途中でずれる
やり取りが長くなると、最初に伝えた条件が薄れていく。
区切りのいいところで「ここまでに決まったことを箇条書きにして」と頼む。 その要約を土台にして続ける。
しゃべりやすさと、深さは別
音声だと勢いよく話せる。
でも、同じ話を繰り返していたり、勢いで言い切っていたりする。
考えを出すのは声。 数字や名前の確認は画面。 最後は目で読み直す。
分けたほうが、結局早かった。
そのまま読み上げられるテンプレート
考えがまとまっていない段階なら、これを読み上げるところから。
【目的】をしたい。理由は【使い道・背景】。【資料や自分の経験】をもとに、【記事・表・台本などの形式】で作ってほしい。【誰向けか・長さ・口調】は守ってほしい。まだ考えが曖昧なので、足りない情報を一度に一つずつ質問してほしい。「作成して」と言うまでは、完成版を書き始めないでほしい。
記事を書くときは、こう使っている。
noteの記事を書きたい。文章が苦手でも、しゃべれば考えを形にできると伝えたいから。これから体験を話すので、その内容を材料にしてほしい。2,500字くらいで見出しを付けて、最後にテンプレートを入れてほしい。話していない経験を、こちらの経験として書かないでほしい。まず5つ質問して、一度に一問ずつ聞いてほしい。
効くのは、後ろから二番目の一行だ。
話していない経験を、こちらの経験として書かないでほしい。
これを入れておかないと、AIは話の流れを補ってくる。
聞いていない体験まで、それらしく混ざる。
悪気があるわけじゃない。 文章として自然につながるほうへ、埋めにいくだけだ。
だから先に、線を引いておく。
代わりに考えてもらう相手にはしない
きれいな文章を作ってからAIに渡す必要はない。
思いついたことを話す。 質問してもらう。 違えば直す。
その短い往復を重ねると、頭のなかの曖昧なものが、少しずつ言葉になる。
1年以上しゃべってきて、分かったことがある。
AIは、こちらが渡していないものを知らない。
知らないまま、それらしく埋めてくる。
目的も、背景も、これまで何をしてきたかも、渡さなければ伝わらない。 だから一般論が返ってくる。それはAIのせいじゃなかった。
自分の経験、届けたい相手、譲れないところ。
そこを渡して、整理を手伝ってもらう。 最後にどれを選ぶか、それが本当に伝えたいことかを決めるのは、こちら側でいい。
この記事も、そうやって作った。
しゃべって、まとめてもらって、こちらで直した。
音声入力は、時短の機能じゃない。
文章が苦手な人のなかに眠っているものを、外に出すための入り口だと思う。
上手に話そうとしなくていい。
「こんなことを考えているんだけど」
そこから始めてみてはどうでしょうか。
あなたが言葉にできずに抱えているもの、何かありますか。
出典
本記事は、YouTubeチャンネル「AI仙人」の音声入力に関する動画をNotebookLMで整理し、1年以上音声入力を使ってnoteを書いてきた実感を加えてまとめたものです。「目的・インプット・アウトプット・制約」の4分類は動画で紹介されていた考え方をもとにしています。
元動画:【上級者の日常】AI使うの上手い人はこの方法で音声入力している(AI仙人) https://youtu.be/vVGYnI0SMYo
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