医学部、経歴バグってる人が普通にいる。40代・6浪・子持ち・夜職・大学中退——それでも医学生になった人たち
医学部受験をしていると、
「1浪した。人生遅れた。」
みたいな感覚になることがあります。
2浪すると、もっと焦る。
3浪すると、年齢を気にし始める。
大学に一度入ったら、
「再受験なんて遅いかな」
と思う。
でも医学部に入るまでの経歴って、
思っているより全然きれいじゃありません。
というか、
普通にバグってます。
40代で1年生。
6年間ずっと浪人生。
子どもがいる。
夜働きながら大学に通う。
大学に入って、辞めて、また入り直して、最終的に医学部。
こんなルートだってある。
今回は、
「自分はもう遅いかもしれない」
と思っている医学部受験生に向けて、
ちょっと極端な5つの人生を並べます。
※特定の5人への取材記事ではなく、医学部で見聞きするようなさまざまな経歴を、個人が特定されない形でケースとしてまとめています。
① 40代。周りの同級生、ほぼ子ども世代。
想像してください。
医学部1年生。
朝9時。
教室に入る。
隣に座っているのは19歳。
自分は40代。
下手したら、同級生の親と年齢が近い。
それでも同じ授業を受けます。
同じレポートを書く。
同じテストに怯える。
「え、今から医者になるの?」
当然そう思う人もいるでしょう。
卒業する頃には50歳近い。
そこから初期研修。
普通に考えれば、かなり遅い。
でも考え方を変えると、
50歳はどうせ来ます。
そのとき、
医師になっている50歳
なのか、
「40代のとき受験しておけばよかった」と思っている50歳
なのか。
比べる相手は19歳じゃない。
未来の自分です。
② 昼は医学生。夜は働いて学費と生活費を作る。
「私立医学部なんだから、親金持ちでしょ?」
そんなイメージがあります。
でも現実は、
そんな家庭ばかりではありません。
昼は医学部。
夕方まで授業。
そこから夜の仕事。
深夜に帰る。
そして翌朝また大学。
テスト前でも、
家賃は待ってくれません。
生活費も待ってくれません。
「勉強したいから今月働きません」
ができない人もいます。
私立医学部で本当に怖いのは、
受かることより、6年間払い続けて生き残ること
だったりします。
「医学部=金持ちの世界」
だけを想像していると、
こういう学生の存在はたぶん見えません。
③ 授業が終わった瞬間、子どものお迎えに走る医学生。
授業終了。
周りは、
「今日飲む?」
「部活行こう」
「飯どうする?」
でも、その人は速攻で帰る。
理由は、
保育園のお迎え。
医学生だけど、
同時に親です。
夜。
子どもを寝かせる。
洗濯する。
明日の準備。
そこから試験勉強。
しかも子どもが熱を出したら、
全部崩れる。
医学部の試験は、
「子どもが昨日熱を出したので」
では消えてくれません。
普通の大学生が使える3時間と、
子育て中の3時間。
同じ3時間でも重さが違います。
この人たちに必要なのは、
「努力すれば何とかなる!」
ではありません。
家族・保育・お金・周囲の協力。
夢だけでは医学部生活は回らない。
それでも医師を目指す人がいます。
④ 18歳から24歳まで、職業「浪人生」。
高校卒業。
不合格。
翌年。
不合格。
また翌年。
不合格。
その間に、
高校の友達は大学2年生。
3年生。
4年生。
就活。
卒業。
社会人。
自分はまだ、
「医学部志望です」
と言っている。
6浪。
たった2文字ですが、
6年です。
かなり重い。
たぶん途中から、
「医者になりたい」
だけじゃなくなります。
「ここまで浪人したんだから、もう引けない」
が混ざってくる。
ここが怖い。
6年間諦めなかった。
それだけ聞けば美談です。
でも、
6年間同じ勉強を繰り返しているだけなら、
7年目も同じ結果になるかもしれない。
多浪で必要なのは、
根性より、
去年落ちた自分と何を変えるか。
これはかなり残酷だけど、
受験では大事だと思います。
⑤ 大学に入る。辞める。また入る。結局、医学部。
大学Aに入学。
「違うな」
辞める。
別の大学へ。
また違和感。
もう一度受験。
そして最後に医学部。
経歴だけ見ると、
めちゃくちゃ迷走してます。
親からしたら、
「また大学変えるの?」
となる。
本人も、
「自分って何やっても続かないのかな」
と思うかもしれません。
でも、
別の大学に行ったからこそ分かることがあります。
医学部じゃない人生を、実際に一度生きてみる。
友達もできる。
授業もある。
普通の大学生活も経験する。
それでも、
「やっぱり医師になりたい」
が残る。
そこまで残るなら、
最初から医学部しか知らない人とは、
少し違う覚悟で受験することになります。
私自身も、
医学部まで一直線だったわけではありません。
だから、この感覚は結構分かります。
で、何が言いたいのか。
40代。
夜に働く。
子持ち。
6浪。
大学中退。
ここまで読むと、
「じゃあ何歳でも何浪でも余裕じゃん!」
と思うかもしれません。
いや、全然そんなことはないです。
年齢はハンデになる。
浪人した時間は戻らない。
大学を辞めれば学費も消える。
子どもがいれば自由時間は減る。
お金がなければ普通に苦しい。
全部リアルです。
でも、
ここで一つだけ分けて考えたい。
「不利」なのと「無理」なのは違う。
受験生は、1年遅れるだけで人生が終わった気になる。
これ、本当にあります。
1浪。
「みんな大学生なのに」
2浪。
「同級生はもう大学2年生」
3浪。
「医学部入って浮かないかな」
受験中って、
1年が異常にデカく見えます。
でも、
40代で入る人がいる。
6浪して入る人がいる。
別の大学から来る人がいる。
家庭を持ってから来る人もいる。
そう考えると、
人生のルートって、自分が思っているほど一本じゃありません。
もし今「もう遅い」と思っているなら
ひとつだけ考えてほしいです。
あなたが医学部を諦めようとしている理由は、
本当に医学部に行きたくなくなったからですか?
それとも、
落ちるのが怖いからですか?
「もう2浪だから」
「偏差値低いから」
「一回大学入っちゃったから」
「周りに遅れてるから」
もちろん、現実は見た方がいい。
無限に浪人すればいいとも思いません。
でも、
自分で勝手に“不合格になる前から不合格”にする必要もない。
私も、医学部までまっすぐではありませんでした。
浪人しました。
別の大学にも行きました。
そのまま違う人生を歩くこともできました。
でも、
もう一度受験しました。
そして今、
医学部1年生です。
受験中は、
「何年遅れているか」
ばかり気にしていました。
でも今は、
そんなことより、
次の試験で留年しないかの方が100倍怖いです。
医学部に入った瞬間、
過去の浪人年数より、
目の前の試験の方が重要になりました。
最後に。
医学部に入る人は、
みんな綺麗な経歴を持っている。
そんなことはありません。
むしろ、
履歴書だけ見たら「何があった?」みたいな人もいる。
それでも、
最終的に同じ教室で、
同じ医学を勉強しています。
だからこのnoteではこれから、
「現役で華麗に医学部合格しました」
みたいな話より、
浪人した人。
失敗した人。
遠回りした人。
一度諦めた人。
そういう医学部受験を書いていきます。
私自身の、
浪人 → 別大学 → 再受験 → 医学部
についても、これから全部書きます。
成功談だけじゃなくて、
落ちたとき。
成績が伸びなかったとき。
無駄にした勉強。
再受験を決めた理由。
実際に何を変えて医学部に受かったのか。
そこまで。
医学部合格までの人生って、
合格体験記ほど綺麗じゃないです。
だから、綺麗じゃない方を書きます。
―― くらげ
