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水族館に行ったのに、覚えていたのは走ったこと

息子との初めてのすみだ水族館。

息子が一番夢中になったのは、魚でもペンギンでもありませんでした。

その前に、ソラマチのココノハでパンケーキを食べました。「美味しい、美味しい」と言いながらパクパク食べる息子。

このテンションのまま水族館に入れば、間違いなく魚を指さして喜ぶだろう。

そんな余裕を持った考えでした。

最初は本当にそれっぽかったんです。息子も魚を見て、多少の反応も見せてくれました。

「ほらー、お魚さんいるよ」

でも、それも長くは続きませんでした。

途中から、息子の興味は魚ではなく、館内そのものに移っていきます。

極めつけがペンギンでした。

ほとんど見ない。素通り。薄暗い運動場にでも向かうみたいに、猛スピードで。

ペンギンですよ!?

こちらはさすがに疲れも出てきていたんですが、あまりの潔さに、思わず吹き出しました。自由か。

で、その息子が一番夢中になっていたもの。

展示の横にあった、アーチ状の壁のようなもの。

名前、分かりません。

そこに無言で吸い込まれ、くぐって、出て、また戻って、をひたすら繰り返す息子。

面白いポイント、こっちには一切見えません。

何度か、魚のほうへ連れ戻しました。

ついてはきます。ちゃんと。

でも、しばらくするとまたアーチへ。

連れていく、戻る、また連れていく。

何回目だ、これ!

せっかく水族館に来たんだから、魚も見てほしい。その気持ちはありました。正直。

でも、何度目かのアーチ帰還を見て、思いました。

もう、今日はこれでいいか。

結局、1時間半、その大半をこの攻防に費やしました。

水族館、来た意味。

帰ってから聞いてみました。

「水族館、楽しかった?」
「何が楽しかった?」

息子の答えは、言葉ではありませんでした。

「ブーン」

そう言いながら、その場で走って見せてくれました。

……走ったことが、一番楽しかったらしいです。

魚じゃなかった。



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