良い求人原稿でも、読みにくければ読まれません
求人票の中身をどれだけ丁寧に作り込んでも、読みにくい原稿は、途中で読むのをやめられてしまいます。
これって、内容が悪いからではないんですよね。「知りたい情報が、知りたいときに見つからない」。ただそれだけでも、離脱は起こります。
求人票を書くときは、つい「何を書くか」に意識が向きます。でも、同じくらい大切なのが「どう読まれるか」です。
求人票は、小説のように読まれるものではない
求職者は、最初から最後まで順番に読んでいるわけではありません。
「仕事内容は?」「給与は?」「休みは?」「自分にもできそう?」と、自分に必要な情報を探しながら読んでいます。
だから、求人票の「読みやすさ」って、文章をきれいに書くことではないんです。必要な情報を、必要な人が、迷わず見つけられるようにすること。 これが本質です。
知りたいことを、できるだけ早く見つけてもらう
まず意識したいのが、情報をもったいぶらないことです。特に仕事内容や待遇など、応募を判断するうえで重要な情報は、できるだけ早い段階で伝えます。
たとえば、こんな書き出しをよく見かけます。
「弊社は地域のお客様に長年支えられてきた会社で、近年は事業拡大に伴い、新しい仲間を必要としています。そこで今回、営業スタッフを募集することになりました。」
間違った文章ではありません。ただ、ここまで読んでも「結局、どんな仕事なの?」がまだ分かりません。
もっとシンプルにしてみます。
今回募集するのは、地域のお客様を担当する営業職です。
事業拡大にともなう増員募集です。
これなら、最初の数行で仕事内容と募集背景が分かります。会社の歴史や募集に至った背景を伝えることが悪いわけではありません。ただ、それらを伝える前に、求職者が一番知りたい情報を先に出す。この順番を意識するだけでも、かなり読みやすくなります。
長い文章の塊をつくらない
次に大切なのが、文章の「見た目」です。内容が良くても、画面いっぱいに文字が詰まっていると、それだけで読むハードルが上がります。
特に求人票は、じっくり腰を据えて読むというより、気になる情報を探しながら流し読みされることも多いものです。だから、1文を短くする、適度に改行する、見出しを入れる、箇条書きを使う、といった工夫が効いてきます。
たとえば、
「当社では完全な未経験からスタートした先輩社員たちも多数現場で大活躍しており、入社後はまず充実した3ヶ月間の手厚い研修期間からスタートして専任の担当者が親身になってマンツーマンで基礎の基礎から非常に丁寧に教えていきますので、専門的なITの難しい知識や実務での経験が全くない初心者の方でも途中で挫折することなく自分のペースで安心して少しずつ業務に慣れていくことができます。」
これだと、1文の中にぎゅうぎゅうに詰め込まれており、途中で息が切れて流し読みでは頭に入りづらくなります。
そこで、伝えたい概要を見出しにし、不要な形容詞を削ぎ落として必要な情報だけに絞って整理してみます。
【未経験でも安心!3ヶ月の研修あり!】
入社後は専任の担当者がマンツーマンで基礎から丁寧にお教えします。
ITの知識や経験がなくても大丈夫。
あなたのペースで少しずつ慣れていきましょう。
伝えている内容は、それほど変わりません。でも、読む負担はかなり減ります。読みやすさは、文章の内容だけで決まるものではなく、「目に入った瞬間に、読めそうだと思えるか」も大切なんですよね。
箇条書きは、「情報を探しやすくする」ために使う
1文を短く区切るだけでなく、複数の情報を一目で理解させたい場合は、「箇条書き」を使うのも非常に効果的です。
たとえば、
「弊社では社員の成長を大切にしており、入社後は先輩社員がしっかりとサポートしながら、少しずつ業務の幅を広げていただける環境を整えておりますので、未経験の方でも安心してご応募いただけます。」
これを、
【安心のサポート体制】
■未経験歓迎: 先輩社員がしっかりサポート
■段階的な成長: 少しずつ業務の幅を広げられる環境
■成長支援: 一人ひとりのペースに合わせた育成方針
とすると、必要な情報を一瞬で拾いやすくなります。
ここで大事なのは、文章を短くすることそのものではありません。求職者が「自分でもできそうか?」「どんなサポートがあるのか?」と確認したいときに、すぐ目にとまるようにすることです。求人票では、最初から最後まで読ませることより、必要な情報を必要なときに拾えることのほうが大切です。
数字を使って、判断しやすくする
「多い」「少ない」「しっかりしている」といった言葉は便利です。でも、便利だからこそ、求人票では使いすぎないほうがいいです。
「残業は少なめです」と書かれていても、「少なめ」がどのくらいなのかは分かりません。それより「残業は月平均8時間です」のほうが、働く姿をイメージできます。
・「若手が多く活躍しています」→「社員の6割が20〜30代です」
・「未経験からでもしっかり教育します」→「入社後3ヶ月は、先輩社員がマンツーマンで教えます」
数字を入れることで、情報が具体的になります。ただし、数字を使えば何でもいいわけではありません。「8割」「6割」と書くなら、その数字が実際の事実であることが前提です。求人票では、読みやすさと同時に、信頼できる情報であることも大切にしてください。
読み手が知らない言葉を、そのまま使わない
自分たちの業界では当たり前の言葉でも、求職者にとっては初めて聞く言葉かもしれません。特に、業界特有の専門用語、社内用語、略語、カタカナのビジネス用語には注意が必要です。
「OJT」「フロント業務」「施工管理」「クロージング」「アウトバウンド」など、社内では普通に使っている言葉も、求職者には意味が伝わらないことがあります。どうしても使う必要があるなら、一言説明を添えてください。
「OJT(先輩社員と一緒に仕事をしながら覚えていく研修)」
このようにしておけば、意味が分からないまま読み進める必要がありません。これは専門用語に限った話ではなく、「社内の人なら分かるけれど、外の人には分からない」という言葉は、意外とたくさんあります。求人票を書いたあとに、一度「この言葉を、自社のことを何も知らない人が読んだら分かるかな」と確認してみてください。それだけでも、文章はかなり親切になります。
「全部読んでもらう」必要はない
求人票を書いていると、「せっかく丁寧に書いたんだから、全部読んでほしい」と思ってしまいます。でも、求職者は必ずしも、上から下まで順番に読んでいるわけではありません。まず仕事内容を見る人もいれば、給与から見る人もいます。休日を確認してから、仕事内容を読む人もいます。
だからこそ、どこから読んでも、必要な情報にたどり着ける。そんな原稿を目指したほうがいいです。見出しを見れば大まかな内容が分かる。箇条書きを見れば条件が分かる。数字を見れば具体的なイメージができる。文章を全部読まなくても、要点が拾える。こういう求人票は、読む人にとって親切です。
求人票の読みやすさを考えるとき、「もっと上手な文章を書かなければ」と思う必要はありません。大切なのは、むしろ逆で、読む人の負担を減らしてあげることです。
知りたいことを、早めに出す。長い文章を分ける。見出しや箇条書きで情報を整理する。抽象的な言葉を、具体的な数字に置き換える。知らない言葉には、説明を添える。そして、全部を順番に読まなくても、必要な情報を拾えるようにする。
どれも派手なテクニックではありません。でも、こうした小さな工夫の積み重ねが、読んでもらえる求人票をつくります。「何を書くか」だけでなく、「どう読まれるか」まで考えてみてください。それだけで、同じ内容でも、伝わり方はかなり変わってきます。
