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パズルのピースがはまる時——効率化と印象派の絵の具チューブ

現在の僕の制作プロセスにおいて、パズルマスキングという手法は欠かせないものになっています。

パズルマスキング自体はほぼ完成の域に達していると思っていますが、どうしてもパズルのピースを貼り戻したときにズレが生じるため、そのわずかな隙間に色が乗ってしまうという問題はあります。ただし、これが問題なのかどうかは自分次第というところもあります。このわずかに生じたズレによって塗られた色を味として活かすという考え方もあると思うからです。

しかし、もっときれいに仕上げる方法は思いつくので、マスキングの技法としては発展途上かもしれません。

僕の描き方では、まず背景となる静止した風景などをすべて描き終えます。その後、リボンや自動車といった移動するモチーフを描くために、画面に黄色いマスキングシートと透明マスキングフィルムの二重貼りをし、カッターで輪郭を切り出していきます。モチーフの中に複数の色がある場合、それらを切り分けてパズルのように順番に塗っていくのです。

なぜマスキングフィルムを二重に貼るのか。

それは、はみ出した絵の具でモチーフの輪郭が隠れてしまい、パズルのピースを戻す場所がわからなくなるのを防ぐためです。上層の透明フィルムを剥がせば、はみ出た絵の具も一緒に取り除かれるため、元の形がくっきりと現れます。

意図していなかった二重貼りの恩恵はもう一つあって、黄色いマスキングシートだけだと、カッターでどこを切ってあって、どこを切ってないのかわからなくなることがよくあります。ところが、上に透明フィルムが貼ってあると、切ってある場所が見えやすくなったのです。

元々この手法を考案した理由は、極めて現実的で身も蓋もないものでした。マスキングシートの寿命を延ばしたい、作業を効率化したいという、ただそれだけの目的から生まれたシステムです。

ところが、実際にこの作業を続けていると、思いがけないことに気づきました。剥がしたピースを台紙に戻して保管し、画面に絵の具を乗せて乾かした後、その上に再びぴたっと貼り戻す。この一連の作業が、思っていた以上に楽しいのです。絵を描くという真剣なプロセスの中に、純粋なパズル遊びのような身体的な快感が紛れ込んでいます。

すでに描き終えた背景の絵の具の上に直接刃を当てるわけですから、ふとキャンバスまで切ってしまうのではないかと頭をよぎることもありますが、不思議なことにそこに抵抗や恐れはあまり感じません。

僕はこれらのピースを筆ではなく、ペインティングナイフを使って塗っていきます。筆を使うとピースの大きさによってムラができやすく、一度で均一な不透明感を出すのが難しいからです。ナイフを使えば、マスキングシートの厚みをガイドラインにして、絵の具をフラットに押し付けることができます。その感覚は、絵を描いているというより、まるで壁を均す左官屋のようです。そうして塗布されたピースには、擦り付ける量による微かな厚みの差が生じ、画面にはところどころナイフの跡が残ります。

よりフラットにしたい場合は、ローラーかメイクアップ用スポンジを使うこともあります。

絵の具の重なりによる空間的な奥行きを持った背景。その上に配置される、輪郭こそ極めてシャープでグラフィック的でありながら、内側には左官職人のような物質としてのノイズ(手の痕跡)を孕んだモチーフ。このコントラストと矛盾こそが、パズルというシステムがもたらした、今の自分の絵の面白さにつながっていると感じています(面白くないかもしれませんけどね)。

この現象について考えていたとき、ふと金属チューブの絵の具と印象派のつながりを思い出しました。

モネやルノワールといった印象派の画家たちが、アトリエを飛び出して屋外の変わりゆく光を鮮やかに描き出せたのは、19世紀半ばにチューブ入り絵の具が発明されたからだと言われています。それまでは豚の膀胱などに絵の具を保存しており、持ち運びは極めて不便でした。チューブという持ち運びやすくて効率的な実用品の発明がなければ、印象派という美術史を揺るがす画期的なスタイルは生まれなかったかもしれません。

実用的な制約の解消や、効率化の追求。そういった一見すると芸術のロマンとは無縁の都合が、結果的にその作家の新しい造形言語を引き出してしまうことがあるのです。

効率を上げつつ、シートの寿命を延ばしたい、というささやかな動機から始まった僕のパズルマスキングも、今やただの手段ではなく、シャープな輪郭と生々しい物質感を共存させるための大切な儀式になりつつあります。

そんなことを考えながら、今日も僕はカッターの刃の消耗と戦いながら、キャンバスの上で迷子のピースの居場所を探しては、ぴたっとはめ込む静かな悦びに浸っています。


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