FF16は何がダメだったのか 完全版①
遊んですらいないエアプどもがFF16を叩いているのをよく見かける。
俺はそれが許せない。
だから敢えて、本編のみならずサブクエからDLCまで全てを遊んだこの俺が、直々にFF16の悪かった点をレビューすることで、『世間の評判』と『実際の評価』との歪みを直したい。
肝心の部分はネタバレを濁すが、ストーリーの大雑把な流れはネタバレしてしまう。
今回は①ストーリー編だ。
個人的評価
まずはゲームのネタバレを見ずに、ゲームの評価だけ知っておきたいという人向けに本作の個人的評価を先に話しておきたい。
本作の評価だが
とんでもなく良い部分と、とんでもなく悪い部分
それぞれが交互に来るゲームであり、好きであり嫌いになるゲーム
という評価だ。
ゲーム性としては「初代ゼノブレイド」みたいなものだ。途中途中で長いムービーが入ったり、物語と共に主人公のアビリティが増えていったり、復讐から始まる物語だったり。他にも似た要素が多くあったと感じる。
アレが好きな人は面白いと思えるゲームだろう。実際、初代ゼノブレイドファンの私は楽しめた。FFだと思わずPS5版ゼノブレイドくらいな気持ちでやるなら結構オススメ。
悪かった点としては
1. 主人公の心理描写の不足
2. 最高の始まり方が、結局ありきたりなストーリーになってしまう
3. 描きたい部分とそうじゃない部分の落差が激しい
4. FFに求めるパーティ感の無さ
5. ぽっと出の重要キャラたち
6. 生活感のない、虚無感たっぷりのフィールド
7. 遊び要素の少なさ
これらを許容できるなら”あり”だ。
悪かった点の紹介
さて本題だ。この記事ではストーリー面での悪かった点を話していこう。
1. 主人公の心理描写の不足
主人公に感情移入できるかどうかは「RPGの生命線」なのだが、本作はそこが弱い。

本作のストーリーは、主人公の考えを言葉で表現する場面があまりに少なく、彼に感情移入しにくいのだ。これこそが最も致命的であり、最も勿体ない部分であった。
FF16のストーリーがおもんなかった原因って色々語られてるけどキャラの心理描写不足→何故それをするのか(しないのか)何考えてんのかわからん→没入感の低下ってのは共通認識な気がする
— teteu (@memememe0312) March 27, 2024
(俺も同じ意見だ…)
主人公の心境が繊細に掴み切れないため、いいヤツなのは分かるんだけど、所詮はいいヤツ止まり。結果として、ストーリーの納得感やゲームの没入感が損なわれてしまっている。
ここからは具体的にストーリーを見ることで、なぜ主人公に共感できないのか説明しよう。
少しネタバレになってしまう。
①【マザークリスタル破壊という陰謀論を正義として疑わない】
まずは大雑把にこのゲームの世界観を把握してほしい。
本作では「マザークリスタル」と呼ばれる巨大なエネルギー結晶が世界に5つ点在している。魔法を扱う上での莫大なエネルギー源となるそれは、国やら街やらといった人々の生活圏を形成する核となる非常に重要な資源だ。
もちろん人々はその存在意義を疑わない。主人公もそれは同じだ。

一方世界では”黒の一帯”と呼ばれる、エネルギーが枯れて灰色になり人間が住めなくなった汚染地帯が拡大し続けている。そのためマザークリスタルの潤沢なエネルギーの恵みを求めて、土地の奪い合いや戦争が日増しに熾烈化していた。

ある日、主人公&幼馴染が敵に囲まれた四面楚歌のときに、見知らぬ男「シド」がフラッと現れて助けてくれる。さらに彼の隠れ家に自分たちを匿ってくれると言うのでついて行くことになる。その後まぁ色々あったのだが、最終的に主人公たちはシドの思想に共感し【協力】する流れになる。

ここまでがゲームの序盤。
だいたいストーリーの3分の1だ。
さて、ここからが問題なのだが【協力】と囲った部分についてだ。
シドに協力する内容とは【マザークリスタルの破壊】なのだ。

先程述べた通り、マザークリスタルとは莫大なエネルギー源であり、これ無しでは人々が生活圏を形成することすらままならないほどの最重要インフラだ。それを否定するということは、我々で言えば貯水ダムの存在を否定するようなものだ。
シドの理屈としては
「マザークリスタルはむしろ世界を荒廃させる”黒の一帯”の元凶であり、だから破壊する」とのこと。
しかし、特別それを示す根拠を見せてもらえるわけでもなく、「長い間 調べてきたんだ」と言われるだけ。
これを聞いて
『なるほどじゃあマザークリスタル破壊します、か』となるだろうか?少なくとも俺はそうならなかった。
では、これまで28年間の人生をマザークリスタルの加護のもとに生きてきた主人公ならどうだろうか?なおさらマザークリスタルの存在を否定するようなことはしないだろう。
だが、主人公クライヴはシドの言うことを素直に聞き入れるのだ。
!!??
いくら四面楚歌の状況から命を救ってくれた恩人とはいえ、出会って数日しか経っていない男の突拍子もない陰謀論を鵜呑みにするか…?
さて、ここから物語は終盤までマザークリスタル破壊に奔走することになる。だがストーリーでは、主人公がマザークリスタルを一つ破壊するごとに、その周辺地域で恵みが絶えて貧しくなる人々の様子や、”黒の一帯”と呼ばれる汚染地帯がさらに拡大していく様子が描かれる。
そもそも我々プレイヤーは
『なぜこの主人公はマザークリスタル破壊を正しいことだと信じ続けているんだ?』という疑問を抱え続けている。それに加えて世界の状況は悪くなり続ける。
普通、主人公の立場なら
「これが本当に正しいことなのか?」
「むしろ間違ったことをしているんじゃないか?」
と葛藤するはずだ。そうしてくれないと感情移入できない。
しかし、本作にそんな描写はほとんどない。あることにはあるが、本当に最終盤のムービーでちょろっとあるだけだ。そこで『あ、一応葛藤していたんだ』と気づく。
というわけで、彼の人間らしさの演出が圧倒的に足りていないのだ。
主人公が自分自身の行動に葛藤している描写、それをもっと沢山用意していれば良かったんだ。そうすれば彼なりの人間らしさが垣間見えて、感情移入も進んだはずなんだ。
たったそれだけのことができていないだけで、本作は個人的に大きく評価を落とした。
たかだかフラッと助けてくれた人づてに聞いた、今までの常識を真っ向から否定する陰謀論を疑うこと無く正義とみなして行動する主人公に共感できない。
②【怖いくらいの自己犠牲】
このゲームは中盤以降、救済意識に目覚めた主人公が「人が人として生きられる場所をつくる」という目的のために奮闘するストーリーに一貫する。この目的のアバウトさはともかく、これが物語ラストまで続く軸になる。

さて、ここで問題点なのだが、主人公の自己犠牲がすぎるのだ。
誰にでもある利己心が、主人公には全く見えてこない。不自然なくらいのお人好し。自分の辛さを明かさず、常に人のためになろうとする。
そのせいで彼はどこか人間味がない。これもまた感情移入できなくなるポイントだった。
主人公クライヴさんが聖人だからというのもあるのだが、実はこの理由、最終盤のサブクエスト[受け継ぎし炎]でちょろっと明かされる。
彼の目的は
「憧れであり誇りだった父のように 自分もありたい」
「人が人として生きられる場所をつくるという父の夢を自分も叶えたい」
ということなのだった。このとき、それまで全く見えてこなかった主人公の行動原理がようやく見える。
『そうか、彼のこれまでの行動は父の背中を追いかけてのものであり、他人のためになることで、自分を父と重ねていたのか…』
『人のためになることで、自分もちゃんと満たされていたわけだ。ちゃんと自分のために生きていたわけだ。』
これを見て、主人公の異常なまでの聖人っぷりに対する
『答え合わせできた気持ち良さ』として見るか
『こんな重要な情報もっと早く教えろよ!!』という怒りとして見るか
俺は後者だった。
ゲーム最終盤の、やらんくても問題ないサブクエストをやっていたら、たまたま主人公の行動原理が見えてくるって、それじゃもう遅いんだよ!!主人公にあんま感情移入できずに90%以上ストーリー終わっちゃったよ!涙
たった一工夫、主人公にもっと感情移入できる描写を挿入するだけ。
自分の行動が本当に正しいことなのか葛藤する様子や、自分を父と重ねて想う描写、それらをメインストーリー途中に何度か挿れるだけ。
それだけで全く違ったゲームになった。
どうしちゃったんだよ吉P。
2. 最高の始まり方が、結局ありきたりなストーリーになってしまう
プレイした人なら分かってもらえるだろう。このFF16の始まり方は、ここ数年のゲームでもトップクラスにワクワクする。それが、ね…
あの時の興奮を返してくれ…
「復讐劇」として始まるあのゲーム史上最高の冒頭から、「よく分からんけど世界救う」みたいなテンプレストーリーになってしまうのが、素材の良さをこれでもかというほど殺していて勿体ないんだ。
この物語は、残酷な復讐劇として幕を開ける。マザークリスタルを有する大国の王子として生まれた主人公クライヴは、15歳ながら国の騎士相手に一歩も引けを取らない高い身体能力を有するものの、”召喚獣”をその身に宿して生まれてくることはなかった。一方10歳の弟のジョシュアは、彼とは対照的に病弱であったが、たった一人で国を沈められるほどの強力な力を持つ”召喚獣フェニックス”をその身に宿して生まれてきた。そのことから主人公は実の母から「お前じゃなく弟のジョシュアが健康体だったら」と、存在を疎まれる可哀想な始末。しかし国王である父親はそんなクライヴもジョシュアも平等に愛していた。
そんなクライヴは、父から弟ジョシュアを守る「ナイト」に任命され、それだけを誇りにしていた。

とても、とても良い演出ができてるんですわ。
召喚獣を宿して生まれてくることができず、よりもよって実の母に存在を無視させるかわいそうな主人公が、唯一与えられた役目こそ「弟のナイト」。むしろ嫉妬の対象にもなってもおかしくない弟を、命に代えても守るという地位、それにすがるしかない主人公の辛く苦しい心境が見えてくるんだけど、それがまたイイ!
表情、セリフ回し、風景描写、会話の間、どれをとっても良い演出ができてるんですわ。
ある晩、主人公たちは他国の兵士集団の奇襲を受け、国王である父親の首をはねられる。さらに謎の召喚獣の乱入によって、無惨にも自分の目の前で守るべき弟を踏み殺される。王国はたった一夜にして滅んだ。
夜が明け、敵国の幹部が戦場を視察に来た際、散乱した死体の中から力尽きた主人公を発見。「まだ使えそうだ」と見込まれ、奴隷戦士として生かされることになる。
敵国の奴隷戦士にまで堕ちて13年の月日が流れた主人公は、変わらず復讐の炎に燃えていた。戦士として与えられた任務は、幸か不幸か召喚獣をその身に宿す”ドミナント”の暗殺。弟の仇である謎のドミナントをこの手で殺すまではどんなことでもすると誓い、このダークファンタジーは幕を開ける。



ここまでが先程述べたゲーム史上最高の冒頭。
このゲームの最初は復讐劇、いわば「人間ドラマ」として描かれる。
主人公の復讐心、国々の思惑、召喚獣を宿す”ドミナント”たちの欲望、といった個々の人間ドラマ。そうした小さな火種が、クリスタル占有権をめぐる戦争や、超ド派手な召喚獣バトルへと発展していく。
もうね、たまらん。
もしこのゲームが一貫して復讐劇だったらば、最高のゲームだった。
長くなったが、ここからが問題点だ。
ネタバレになるが、主人公は結局復讐を果たすことができなかった。
そうして自暴自棄になった主人公だが、さきほども述べた通りシドという男に共感し、救済意識に目覚め、次なる目的を見定めることになる。
それが「人が人として生きられる場所をつくる」という、漠然としたペラッペラの使い古された安っぽい目的へのシフトチェンジだった。
ちょっとまって!俺達が見たいのはそういう物語じゃない。
ダークで繊細な雰囲気だったじゃん、なんでそんな急にアバウトな光の物語になっちゃうの?
まぁ、まだここまではいい。
ここから主人公は、マザークリスタル破壊のために国々を荒らし回っていく。国やドミナントといった規模のデカい相手、戦争の最中に首を突っ込んでいく。そうして世界の激動の目撃者になっていく面白さはあった。
ここまでは、まだ、人間ドラマとして成立していた。
最大の問題は終盤だ。
急に「俺が神だ」と自称する、小難しいことばかりいうFF特有の人外キャラが出てきて、それまでの人間同士の争いなんて比較にならない規模のことをし始める。

え、じゃあ今までの全部茶番…ってコト!?
これはヒドい。萎えるわ。人間同士のドラマだからこそ成立していたのに、外野は引っ込んでろよ…!!
友達同士で盛り上がってたら急にお母さんが話に割り込んでくる、あの感じの興ざめをやられた気分だ。
それがしたいならさぁ、始めから復讐劇とか戦争とかそういう次元での話から進めるんじゃねえよ…
ドラクエみてえに最初から「主人公は勇者で、世界を救います!」で始めろよ!!
まあフォローは出来る。意図としては理解できた。
物語が小さいところからどんどん壮大になっていくのを味わってほしかったんだろうなぁっていうのは伝わった。FFっぽさを追求したらこうなるのも分かる。明確なラスボスが欲しかったのも理解できる。
しかしだね、置きに行きすぎだよプロデューサーくん。復讐劇として攻めて良かったのよ。
冒頭が一番面白かったじゃダメなんだよ。

「召喚獣という戦争兵器の世界で行わる、たった一人の男の復讐劇」
という最初のプロットのまま進行してくれれば嬉しかった。
そして最後にアレ。ペルソナ3をやったときと全く同じ気分になった。
ヒドいよ。なんだかんだ俺達はクライヴが好きなんだよ。それをさ…
3. 描きたい部分とそうじゃない部分の落差が激しい
本作は、あらかじめ制作陣が描こうとしていた部分同士を無理につなげたような構成になっている。そのため描きたい部分とそうじゃない部分の力の入れ方に、とんでもないくらいの落差がある。

大きく物語が進展したと思ったら、クソ手抜きのプレイ時間かさ増し虚無時間が交互に現れる。確かに物語において緩急は大事だが、「緩」の時間も面白く遊べなきゃいいゲームではない。本作はその部分で作りが下手だ。
たとえば、
各国で主人公たちに協力してくれる人たち「協力者」を味方につけるクエストがあるのだが、薄っぺらい。マジで何も面白くない。
物語の壮大さの割にやることはおつかい。そう、RPGにおいて悪名高き「おつかい」だ。


「おつかい」がつまらなすぎるからこそ、RPGは廃れたのだ。
「おつかい」がつまらなすぎるからこそ、ストーリー主体のゲームはFPSやサンドボックスに覇権競争で負けたのだ。
なぜそんなRPGをつまらなくさせる権化である「おつかい」をメインストーリー各所に絡めたのか。甚だ疑問でしかない。
また、絶対に描かないといけない部分が描けずじまいのまま終わる部分も多い。
これに関しては納期不足なのか予算不足なのか、またその両方だったのか。
ストーリー的に本来これがやりたかったんだろうなぁという部分でも、カットされている箇所が多々あった。
その一つが、
重要キャラのくせに脈絡無く登場して「はじめからそこにいたよ~^^」みたいな雰囲気を出す奴らが何人もいることだ。我々からしたら『誰コイツ』状態なのに、主人公たちは「知っていて当然」みたいな顔をしている。こうした認知の乖離がゲームの没入感を劇的に下げる。
その人物の初出イベントを、何らかの大人の都合でカットされたのがありありと伝わってくる。
特にヒドいのは、シドの娘「ミド」というキャラだ。かなりの重要人物なのに『誰コイツ』だ。
ビジュアルもかわいく、力を入れたキャラクターに見えるのだが、彼女の初出イベントを描くことすらままならないほどに納期不足だったのだろうか。
(おつかいクエストを消してこっちを優先して制作しろよ。)

またこれと肩を並べて残念なのが、幼馴染ジルだ。
13年の空白期間を経て主人公と合流する彼女だが、その間なにがあったのか、含ませ気味なことばかり言うだけで流れていってしまう。
深堀りこそが、ストーリーの味噌だろうが。


そして極めつけは、ベアラーと呼ばれる奴隷身分の人たちだ。彼らについては、このゲームの世界観を語る上での最重要事項だ。ベアラーは、生まれながらに魔法が使える特別な人間であり、本来ならむしろ強者側だ。しかし彼らは差別の対象・奴隷身分になっている。一体なぜなのか。
この説明もサブクエストでちょろっと出てきて終わり。メインに絡めたかったんだろうけど、間に合わなかったんだろうね。かなしいね。
このように、脚本家が気持ちよくなりたい部分に力を込めて描くために、それ以外のストーリーに掛ける時間がなくなったのか、物語に穴がボコボコと空いてしまっている。ただまぁ、その見せたい部分の出来は本当に素晴らしかったから一概に批判できない。
物語が大きく動くときは『こういうのでいいんだよ!!』と、プレイヤーを絶頂させる100点満点の動きをすることもある。それ以外がカス。
それがFF16。
フォロー
主人公に感情移入しづらい、というだけで彼の人間性への不快感は全くない。むしろ好きになる要素は多い。行動の突拍子のなさは受け入れよう。
復讐劇として始まるダークな人間ドラマから王道の救世物語になるのは残念ではあるが、FFらしさはある。また、主人公が救世意識に目覚めてからは話に一貫性が出て物語を理解しやすい。変に複雑であったり、含ませ気味で終わってしまうようなストーリーでなかった点は評価したい。
描きたい部分とそうじゃない部分の落差は激しいが、描きたい部分の完成度は圧倒的。瞬間最大風速は凄まじい。その部分を体験するためだけに遊んでもいいくらい。
最後に
このゲームは確かに近年稀に見る大作だ。しかし悪い部分も多く、そこを肯定はできない。
次回以降は
②キャラクター編
③その他悪かった点
④逆に良かった点
⑤総まとめ
を計画している
