柏から始まった「ショートパレード」が県大会へ!少人数でもできるマーチング―2026年、新たな一歩
船橋アリーナで開催される「第39回千葉県マーチングコンテスト」で、今年、新しい部門が誕生します。
ショートパレード部門です。
昨年、千葉県の東葛飾地区で始まった新しい試みが、今年はいよいよ千葉県マーチングコンテストの舞台へ。
これは単に「新しい競技が一つ増えた」というだけではないと思います。
その背景には、少子化や部員数の減少、広い練習場所の確保など、現在の学校吹奏楽、そしてマーチングが抱えている大きな課題があります。
ショートパレードは、そんな時代の変化の中から生まれた、新しいマーチングの形です。
千葉県は、吹奏楽活動が盛んで、全国でも有数の「マーチング県」といわれています。
ところが、その千葉県でもマーチングを取り巻く環境は変化しています。
2025年10月13日付の記事では、千葉県内のマーチングは1団体平均約60人である一方、県大会の出場団体数は、
10年前 39団体
↓
2025年 31団体
と減少傾向にあることが紹介されています。
その背景にあるのが、部員数の減少です。
記事の中で、東葛飾地区吹奏楽連盟の石田先生(元市立柏、現開智国際大学顧問)は、全国の学校の吹奏楽部について「平均人数は十数人程度」と指摘しています。
従来型のマーチングでは、大人数であるほど迫力のあるフォーメーションを作ることができます。その一方で、行進を伴う演奏を練習するためには、体育館やホールなどの広い場所も必要です。
「人数が足りない」
「練習する場所がない」
そうした理由から、マーチングそのものを諦めてしまう学校も出てきます。
記事では石田先生の言葉として、「マーチングはやめておこうと思う指導者が多い」という現状も紹介されています。
そこで千葉県の東葛飾地区で考えられたのが、「ショートパレード」でした。
発想はとてもシンプルです。
大人数でなくてもいい。
広大なフロアを使わなくてもいい。
短い時間でもいい。
まずはマーチングに挑戦してもらおう――。
2025年10月12日、千葉県柏市で、東葛飾地区吹奏楽連盟によるショートパレードコンテストが初めて開催されました。記事によると、このときのルールは、
1チーム10人以下
そして、演奏時間3分
というもの。
さらに、従来のマーチングコンテストのような規定課題を設けず、自由な表現に挑戦できる場とされました。
中学生から社会人まで、15チームが参加。
ステージだけでなく客席のそばを歩いたり、観客に手を振ったり、ポーズや踊りを取り入れたり。従来の競技マーチングとは少し違う、演奏者と観客の距離が近いマーチングが生まれました。
この考え方が、ショートパレードの一番面白いところではないでしょうか。
従来のマーチングでは、人数が少ないことは、どうしても不利な条件になりがちでした。
しかしショートパレードでは、その考え方が逆になります。少人数だから、一人ひとりが見える。少人数だから、自由に動ける。少人数だから、観客のすぐそばまで行ける。そして、少人数だからこそ、自分たちらしい表現ができる。人数の少なさを弱点ではなく、表現の個性に変えてしまう。ここに、この取り組みの大きな意味があるように思います。
ショートパレードの目的は、ショートパレードだけを盛り上げることではありません。記事では、この取り組みをきっかけに本格的なマーチングへ挑戦する団体が出てくることも期待されています。いきなり数十人で大きなフォーメーションを組むのは難しい。しかし、3人、5人、10人程度ならできるかもしれない。まず楽器を持って歩いてみる。音楽に合わせて動いてみる。観客に見てもらう。その楽しさを知った先に、「もっとマーチングをやってみたい」という人たちが増えていく。つまりショートパレードは、マーチングへの新しい入口でもあるわけです。
そして今日、2026年8月25日。船橋アリーナで開催される千葉県マーチングコンテストに、ショートパレードが登場します。
大会案内には、「中高大一ショートパレード」という新しい部門が記載されています。昨年、東葛飾地区で始まった小さな挑戦が、今年は県大会の一部門になりました。わずか1年です。これは、ショートパレードという試みが単なるイベントではなく、これからのマーチングを考える一つの選択肢として動き始めたことを示しているように感じます。
大人数で繰り広げるマーチングとはまた違う、少人数ならではの演奏とパフォーマンス。こうした経験を通して、マーチングに触れる部員が増えていくことにも意味があると思います。
少子化が進めば、吹奏楽部の人数はこれからさらに減っていく可能性があります。学校によっては体育館を自由に使うことも難しく、外部施設を借りれば会場費や楽器運搬費もかかります。従来と同じ方法だけでマーチングを続けようとすれば、参加できる学校は少なくなってしまうかもしれません。だからこそ、「人数が減ったからできない」ではなく、「今の人数でできるマーチングをつくる」という発想は、とても大切なのではないでしょうか。ショートパレードは、マーチングを小さくするための取り組みではありません。むしろ、マーチングに参加できる入口を広げる取り組みなのだと思います。
2025年、柏で始まったショートパレードコンテスト。そして2026年、千葉県マーチングコンテストにショートパレード部門が誕生。
まだ始まったばかりです。
この取り組みがこれから千葉県内に広がるのか。そして、いつか県外にも広がっていくのか。それはまだ分かりません。ただ一つ言えるのは、「大人数でなければマーチングはできない」というこれまでの常識に、新しい選択肢が生まれたということです。3人でも、5人でも、10人でも。楽器を持って歩き、音楽を奏で、観客を楽しませる。そこからマーチングを始めてもいい。
千葉県マーチングコンテストで初めて行われるショートパレード部門。千葉から始まった新しいマーチングの形が、今日また一歩、前へ進みます。その最初の一歩を、船橋アリーナでしっかり見てみたいと思います。
