記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【感想】石井千湖「積ん読の本」

私は人の家の本棚を見るのが好きだ。

もちろん誰彼構わず「本棚見せてください」と不躾に願い出てヅカヅカと上がり込むような真似はしない(そんな奴は私だってお断りだ!!)

招かれたお宅のリビングに本棚があればどんな本があるのか気になってソワソワするくらいで、
仲の良さ如何によっては「本棚ちょっとみてもいい?」と断りを入れる分別くらいは持っているつもりだ。

本棚を見ると、その人への理解が一重深まるような気がする。
その人の口から紡がれる言葉や考えの一端が、チョイスされた本から窺い知れるようか気がするからだ。

小説・漫画・図鑑・参考書・自己啓発本。
政治・哲学・思想・歴史・宗教。

さまざなカテゴリのそれぞれの量・比率などから、
「この人にはこの分野で深い話ができるな」とか「この話題はちょっと苦手そうだから差し支えない程度に」など、
会話のバランスを掴むことができる。

無論、本棚だけで窺い知れないこともたくさんあることも承知している。
実際に会話をする最中で、その人との距離感をはかり、心地よい関係性を少しずつ作り上げていくものだと思う。

ただ、これからもっと親睦を深めたいと思う人ほど、好きな本を尋ねたくなったり、その人の本棚の様子が気になるのは、本好きの性ではなかろうか(私だけ…?w)
てっとりばやく共感できるものが欲しいだけなのかもしれない(笑)

よく「本棚はその人の頭の中」と言われるが、
私は「その人の頭の中の一端」だと思う。

本から得た知識でその人がどんな思考を展開し発展していくかまでは想像が及ばないことがあるからだ。
なので「本棚はその人の頭の中すべて〜」なんて言う気はさらさらないが、一方でちょっと躊躇いながらも頷かざるを得ない部分もある。

何故なら私自身が自分の本棚(と本棚からあふれた積ん読たち)を見て、「ああ…自分だな……」としみじみ実感しているからだ。

そう考えてみると「本棚見せてください」は「あなたの頭の中見せてください」と言うに等しいということか。

不躾オブ不躾である。

今後はそれを快諾してくれる奇特な人かどうかを見極めてから慎重に口にしたいと思う。

今作はそんな私の不躾な願いを叶えてくれるまたとない一書となっている。


『積ん読の本』は、
小説家・評論家・エッセイスト・翻訳家・研究者…など、いかにも本とは切っては切れぬご職業に就いている人たちばかりの、
積ん読写真+インタビュー形式の本である。

読み応えは満点。

そして積ん読する理由も十人十色。

少しずつ共感できて、少し「?」となるか、それがまたいい。
本を積む理由は人それぞれでいいんだと安心し、前向きになれる内容となっています。

私は特に池澤春菜さんの以下の言葉に衝撃を受けました。

「私にとって本は食べものなんです。日常生活にあたりまえにあるもので、食べないと生きていけないもの」

『積ん読の本 36p 中段から引用』

池澤さんは積んでも必ず読み切る読書界における猛者中の猛者。
同時進行で3、4冊読み、1日に1、2冊、月に30〜40冊を読んでいるそう。

達人…というか殿堂入りにしてよいお方です。

もう凄いというか異次元過ぎて尊敬しかないですね。
えねっちけーの番組で本関連の出演されている時も、本のオススメの仕方がもの凄くお上手で、ずっと気になっていた存在です。
今作でだいぶ好きになってしまいました。


興味深いという点では小川公代さんの「本棚をビオトープ」と呼ぶところとか、色分け付箋で分類する所など面白い!と思いました。

あと自分ひとりの部屋が必要なくだりなども肯定しかなく、誰もがそういう空間が持てるような(持つことが当たり前だとなお良し)時代が到来することを切に願うものであります。


共感という意味では柴崎友香さんと辻山良雄さんのインタビューに近しいものを感じていました。

積んでいる本は今すぐ読まないかもしれないが、読みたいと思った時に手を伸ばせる所にあることこそが重要といったことを仰っています。

よっしゃ!!どんどん積んでいこう!!


と力を得ましたね(何の力だ)

とはいえ、細る身の上なので月々に本に費やせるお金はそうありません…😭

吟味しながら自分にとっての最適最高な本を選んで、マイペースに読み進めていきたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!