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東京在住、能登半島地震記 5 「デマと詐欺」

SNSで流れてきた情報

1月4日。能登では不穏な動きが広がっていた。「当たり屋がいます」「誘拐もあるようです、我が子を守りましょう!」「空き巣情報 このナンバーに注意」「カップラーメン1500円、水500ml 1000円! ぼったくり販売に気をつけて!」「許せん!」「見覚えのないブルーシートは触らないで! 触ったら高額を請求される」などの情報が、車のナンバープレートの写真付きでSNS上で飛び交っていた。

大災害が起きた時には必ずと言っていいほど、デマが飛び交う。熊本大震災の時には動物園からライオンが放たれたと合成画像を流してSNSに流し、逮捕された人間がいる。能登半島地震ではX(旧Twitter)で、金儲けにつながるインプレッション目当てに外国からたくさんの嘘の救助要請が投稿され、現場に大混乱をらもたらした。

裏の取れない情報を拡散してはいけない、一応、物を書いて仕事にしていた自分としては、肝に銘じている。でも、もしこれが本当だったら? 潰れた家から避難した空き家に入り込む空き巣が本当にいたら? 誰かが市の配布と間違えてブルーシートに触ったら? 不安になりながら、家族LINEにだけ「こういう情報があるみたいだけど、ネットで拡散しないで一応気を付けておいて」と伝えた。とにかく心配だった。

目の当たりにしたデマ

すると、すぐさま妹からメッセージが来た。「このナンバーの車、友達のお兄ちゃんの友達! 名古屋から助けに来てくた人! いろんな友達がこれ拡散しとるけど訂正して!」。

残念ながらInstagramを使わない妹と、初心者でいまいち使い方が??な私には訂正する術がない。少し経って同じアカウントを見ると、当該ストーリーは消されていた。そして、「私のところに集まってくる情報は独断と偏見で掲載を決めさせていただきます。怪しいと思ったらまず自分の身は自分で守りましょう」と上げられていた。

このアカウントの方は、電気や物資など有益な情報もたくさん上げてくださっていた。そして自然とそこには、情報が集まる。その中に、一人の心無い人間が発信したデマが、含まれていたようだ。もしくはXの偽救助依頼とは異なり、怪しい動きを感じた善意の人の発信に、複数の人を経由することで不安から尾鰭がつき、そのアカウントの主まで届いたのかもしれない。そこから情報を拡散した人たちの多くは、善意や正義感からの行動だろう。

あまりにも早く来た詐欺

しかし、ナンバープレートをさらされた無実の車以外の情報の真偽は、果たしてどうだったのか。たとえばブルーシート詐欺の話は、発災後しばらくたってからも話がよく出てきた。一次情報も多く、本当にあった詐欺のようだ。

1月4日。たった3日前に震度7の地震で突然、家や家族、仕事、日常を失った人たちに、どうしてこんな酷い仕打ちができるのか。みんな不安でいっぱいなのに。能登半島は大動脈の道路が寸断され、救助の手すら届かないのに。詐欺のためにあのズタボロの道路を乗り越えてきたというのか…。東京でSNSに張り付いている私は、怒りでいっぱいだった。



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