セッション定番曲その238:Crazy Race by Roy Hargrove
ファンクセッションの人気定番曲。2006年にリリースされた曲ですが、あっという間にスタンダード化しました。ヒップホップの影響を感じるリズムとビバップ調のメロディ、ループするコード進行のジャムセッション向きの曲。
(歌詞は最下段に掲載)
ポイント1:The RH Factor
2018年に49歳で亡くなってしまったRoy Hargrove。ジャズに留まらず、ラテン、ファンク、R&B、ヒップホップまでを横断する活動をしていて影響力も大きかっただけにもっと長生きして欲しかったですね。この曲もヒップホップのグルーヴを取り入れたジャズファンク。きっちりした型のある曲なのに演奏の自由度が高いというまさにジャムセッション向きの曲。
歌詞/歌が最初からありますが、メロディアスというよりもトランペット演奏をなぞったメカニカルな感じの旋律。ひと回し分の歌詞しかないので、自分で付け足したり、スキャットで展開したりしましょう。
ポイント2:Emmet Cohen, Cyrille Aimée
現代のスキャット番長Cyrille Aiméeが参加したジャムセッション。楽器的なスキャットでトランペット演奏とも渡り合えるテクニックの持ち主です。こんな風に自由自在に歌えると楽しいでしょうね。彼女は生前のRoy Hargroveとも共演していました。
ポイント3:歌詞のポイント
We 'bout to get up on this thing, the time is now
What you waiting for?
It's time for you to get up and show the world
What we have in store
「about to」というのは「今まさにxxxしようとしている」という意味。
「get up on the stage」なら「ステージに登る」。
「What (are) you waiting for?」というのはよく使われる表現で「何を待っているの?」というよりは「何をグズグズしてんの?さっさとやりなよ」という感じ。
何をぼーっとしてんの?
ヤルなら今でしょ!
立ち上がって、手の内をみんなに見せてやんなよ!
Some people have to stand in line
To get up in this place
Time is surely hard to pick up your gun
In this crazy race
「stand in line」は「行列をする」。
ここでの「gun」は「銃」そのものよりも「武器=手にした楽器」を示していると思います。
先頭に立つのにずっと待っている連中もいるけど
手元にある楽器を構えて
この最高のセッションに加わろうよ
・・・っていう感じの歌詞だと思います。深い意味は無さそうで、せっかく鳴っているグルーヴに身を任せて君も音を出そうよ、と誘っているのかと。
*歌詞の解釈についてはネイティヴにも聞いてみましたが、やはり抽象的な内容なので「ノリで書いたんじゃないかな」とのこと。
ポイント4:曲の構成
8小節(コードは最初の2小節)ループというシンプルな構成。こういう曲はハネ具合を全員で揃えるのが意外と難しいですね。

ポイント5:様々なバリュエーション
世界中のセッションバーやクラブで夜な夜な演奏されています。下北沢の地下やら池袋の地下やらLAの地下やらNYの地下やらで。
松岡杏奈、2022年ライブ録音
Lucienne Renaudin Vary、2022年ライブ録音
Groove Ensemble、2017年ライブ録音
かなり自由度の高いスキャット。こういう曲はグルーヴ優先でリズムで遊ぶのがいいですね。
Ji Yun Kim、2023年スタジオライブ録音
◼️歌詞
We 'bout to get up on this thing, the time is now
What you waiting for?
It's time for you to get up and show the world
What we have in store
Some people have to stand in line
To get up in this place
Time is surely hard to pick up your gun
In this crazy race
