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セッション定番曲その152:Have You Met Miss Jones?

ジャズセッションの定番曲。ウキウキした感じのメロディ、どんな内容の歌なのでしょうか。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Tony Bennett

1976年録音。物語がある曲を歌わせると説得力がありますね。テクニックよりも声の良さと歌詞の理解力で聞かせるタイプ。歌詞の主人公のちょっとスカした感じにも似合っています。

ポイント2:Benny Goodman Trio

1937年、この曲が書かれた直後の録音です。現在「ジャズボーカル・スタンダード曲」となっているものはミュージカルの為に書かれたものが多く、いわゆる「スイングジャズ時代(1930年代がピーク)」からずっと演奏され歌われています*。このなんとものどかな演奏が、カップルがゆったりと踊るのにちょうど良かったんだと思います。

 *余談ですが、多くのジャズ歌手がその頃の感覚のままの歌を歌っています。そのあたりが「バップ至上主義」の楽器奏者達に煙たがられる原因かも。


ポイント3:歌詞の物語

ヴァース(前節)はありますが、例によって「ネタバレ」な内容なので、ここでは割愛します。

"Have you met Miss Jones?"
Someone said as we shook hands
She was just Miss Jones to me

ここではパーティの場かどこかで誰か(友人)が主人公の男性をある女性に紹介しています。「Have you met Miss Jones?」は直訳すると「ジョーンズ嬢に会ったことあるかい?」ですが、誰かを紹介する時に「こちらがジョーンズ嬢だよ」という感じで使います。

主人公は軽い挨拶のつもりでジョーンズ嬢の手を取っていましたが、その時はまだピンと来ていませんでした。

Then I said, "Miss Jones
You're a girl who understands
I'm a man who must be free"

で、僕は言ったんだ
「僕にとっては拘束されないことがとても大事なんだ、分かってくれるよね」と

And all at once I lost my breath
And all at once was scared to death
And all at once I owned the earth and sky

それに対しての彼女の反応(笑顔?言葉?)がとても良かったのか、彼はいきなり恋に堕ちてしまいます。天にも昇るような気持ちで。

Now I've met Miss Jones
And we'll keep on meeting 'til we die
Miss Jones and I

「Have you met?」から「I've met」そして「we'll keep on meeting」という時制の流れが見事です。その瞬間から彼はジョーンズ嬢を手放さないことを決意します。時間にするとほんの十数秒くらいの出来事と心の動きを表現した歌。

最初に顔を見ながら握手をしているはずなので、単に「顔に一目惚れした」というよりは仕草や言葉のチャーミングさにやられたんでしょうね。

非常に短い歌詞なので、どう表現するのか意外に難しいです。やはり後半部(AABAのBA)にいかに高揚感を盛り込むかですね。


 ポイント4:楽曲分析

構成はAABA、Bセクションが曲者です。ここの展開がJohn Coltraneに影響を与えたのではないかという説も。歌う際には、最初のAパートの4-5小節と最後のAパートの同じ箇所の音程が微妙に違うのがミソです。

リードシート例

昔の曲なのでキーは低めで、音域/声域も広くないですが、低い音と高い音しなかくて中間の音階があまりないので、歌いにくい曲ではあります。


ポイント4:様々な歌唱

女性が歌う場合には歌詞を「Mr. Jones」とか「Old Jones」とかに変えています。

Frank Sinatra、1965年録音


Mel Tormé
、1995年録音


Seth MacFarlane
、2017年録音
ヴァースから歌っています。


Robbie Williams、2001年録音
「Bridget Jones's Diary(ブリジット・ジョーンズの日記)」という映画のサントラに使われました。


Anita O'Day、1958年録音
速いテンポで歌って、すぐにスキャットに入ります。


Sarah Vaughan、1961年録音
かなりクセのある歌い方。メロディやリズムの崩し方、スキャットなど。


ポイント5:インストもいいです

Chet Baker、1965年録音


Oscar Peterson Trio、1964年録音


Ray Brown Trio、1985年ライブ録音


ポイント6:作曲はRichard Rodgers

1920年代から1960年代の長期間、第一線で活躍した作曲家Richard Rodgers。作詞家Lorenz Hartとのチームが有名です。
「Blue Moon」「My Romance」「My Funny Valentine」「The Lady Is a Tramp」「Bewitched, Bothered and Bewildered」「It Might as Well Be Spring」「There's a Small Hotel」などミュージカル用に書かれて、その後にジャズスタンダードになっているもの、「My Favorite Things」「The Sound of Music」「Edelweiss」など誰でも知っているポピュラー音楽/映画音楽、そして「ドレミの歌」もこの人です。

ミュージカルナンバーの多くは最初から歌詞がついていて、物語のあるシーンを彩るものなので、どの曲もちゃんと物語を感じる作品になっています。

米国のエミー賞、グラミー賞、アカデミー賞(オスカー)、トニー賞の全てを受賞した通称「EGOT」の最初の人です。ジュリアード音楽院の前身の音楽学校でクラシックの基礎も勉強しています。


◼️歌詞


(Verse)
It happened, I felt it happen
I was awake, I wasn't blind
I didn't think, I felt it happen
Now I believe in matter over mind
And now you see we mustn't wait
The nearest moment that we marry is too late

(Chorus)
"Have you met Miss Jones?"
Someone said as we shook hands
She was just Miss Jones to me

Then I said, "Miss Jones
You're a girl who understands
I'm a man who must be free"

And all at once I lost my breath
And all at once was scared to death
And all at once I owned the earth and sky

Now I've met Miss Jones
And we'll keep on meeting 'til we die
Miss Jones and I



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