セッション定番曲その161:Here's That Rainy Day
ジャズセッションの定番曲。バラードでもボサノバでも。素敵なタイトルにはどんな意味があるのでしょうか。
(歌詞は最下段に掲載)
和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。
ポイント1:Frank Sinatra
1959年録音。ミュージカルの中を取り上げて歌い、ヒットさせることの多かった人でした。ある意味セルフプロデュース能力が高かったんですね。この時点ではジャズというよりミュージカルナンバーの雰囲気ですね。Frank Sinatraを聴く時には晩年のイメージではなく「若い頃、アイドル歌手/俳優として女性に絶大な人気があった人」というのを理解した上で聴くといいと思います。
ポイント2:年代順コード進行、というか演奏者別コード進行
まとめられていた記事がありました。こんな風に変化/成長していくのがジャズのスタンダード曲の面白いところですね。
下記は男性が歌う場合のリードシート例。

ポイント3:歌詞のポイント
Maybe I should have saved those leftover dreams
Funny but here's that rainy day
Here's that rainy day they told me about
And I laughed at the thought
That it might turn out this way
「leftover」は「残りもの」なので、「あの残りものとして放置してしまった夢」でも大事にとっておけば良かったかもしれない、と。
いま降っている雨は、その時の記憶
あの時「そんなこと(悲劇)になるよ」と周囲の友達は言っていたけど
私は笑い飛ばしていた
それなのに彼らの予想通りになってしまった
Where is that worn out wish that I threw aside
After it brought my love so near
Funny how love becomes a cold rainy day
Funny that rainy day is here
私が放り捨ててしまった「使い古した(ずっと持っていた)願い」はどうなったの?
それが愛を成就させてくれたのに
確かにあった愛が、冷たく覚めてしまうなんてあり得ない
でも、その雨がいまここに来ている、信じられない
「雨(冷たい雨)」は「冷めてしまった愛」「泣いている日々」を表現しているようです。その原因は主人公にあるのか、それとも相手にあるのか。そして、実際に雨が降っているのか、それとも心の中の雨なのか。
なので、この曲を単純に「雨の歌」「雨の日の歌」と解釈してしまうのは間違いです。晴れた日に歌っても大丈夫。
ポイント4:様々な歌唱
Tony Bennett、1992年録音
物語を語るように歌っています。ヘタウマのウマ寄り代表例。
Natalie Cole、2008年録音
これも父親のNat King Coleが歌っていたレパートリーを取り上げたものです。しっとりとした(粘っこい)バラード。
Bob Dylan、2017年録音
ヘタウマのヘタ寄り代表例。それでいいのだ。
Astrud Gilberto、1967年録音
速いテンポのボサノバアレンジ。ヘタウマの「味わい」寄り代表例。
ポイント5:様々な演奏
Stan Getz, Gary Burton、1964年録音
ついついオカズを入れたくなる単純なメロディなので、Stan Getzも我慢出来ずに色々やっています。Gary Burtonのビブラフォンが雨音のようにも聴こえます。
Bill Evans、1969年録音
ソロピアノ。リズム隊に縛られていない分、自由なテンポで表現しています。
Paul Desmond, Jim Hall、1965年録音
少し速めのテンポの演奏。
Joe Pass、1974年録音
Michel Petrucciani、1986年録音
Duke Jordan、1973年録音
オカズ満載の演奏で、途中でクリスマス曲のメロディも挟んでいます。
ポイント6:作曲者はJimmy Van Heusen
1930年代から60年代まで活躍して、スタンダード(化した)曲を沢山書いています。いわゆる「歌もの」が多く、Frank Sinatraにも沢山の曲を提供しています。
「All the Way」「Come Fly with Me」「High Hopes」「But Beautiful」「It Could Happen to You」「Like Someone in Love」「Polka Dots and Moonbeams」「Darn That Dream」「I Thought About You」「Nancy (with the Laughing Face)」など、親しみやすいけれど物語性のあるメロディの曲ばかりです。
◼️歌詞
Maybe I should have saved those leftover dreams
Funny but here's that rainy day
Here's that rainy day they told me about
And I laughed at the thought
That it might turn out this way
Where is that worn out wish that I threw aside
After it brought my love so near
Funny how love becomes a cold rainy day
Funny that rainy day is here
